オーシャンスポーツをしながら マイクロプラスチックを除去
今はコロナ渦で旅行客もチラホラのハワイですが、もともと、オーシャンスポーツがとても盛んです。いまは、海に入る人が少なく、ホテルや商業施設等からの排水も減少しているから、海がきれいになったと思われます。
ところが、海水中には、微細なマイクロプラスチックが激増し、海の生物や魚貝類が飲み込んだり、これまでにないほどの海洋汚染の原因となっています。太平洋の沿岸諸国や船舶から投棄されたプラスチックごみは波や太陽光などの自然環境下で微細に破砕され、生態系に大きな悪影響を及ぼしています。大型ゴミなら海岸に流れ着いたり、ネットで回収することも考えられますが、このマイクロプラスチックは厄介です。目に見えないくらい細かいのですから。
さて、今回は、オーシャンスポーツで欠かせないボートや水上スクータに用いられる船外機やエンジンに取り付け可能な「マイクロプラスチックの回収装置」が開発されたという話です。
船外機メーカーの大手のスズキが、エンジン冷却のために大量に吸い上げた水を冷却後にその水を戻す構造に着目し、戻り水の放水機構に、フィルター式のマイクロプラスチック回収装置を取り付けようと考えたのです。ボートが走行するだけで、海面付近のマイクロプラスチックゴミを回収することができるのです。また、冷却水の戻り水なので、走行性能には影響はありません。
この装置は簡単な作業で取り付けることが出来、2021年からオプション用品として、また、将来的には標準装備として販売される予定です。ちなみに、スズキ社では「クリーンアップ・キャンペーン」として過去10年以上に渡って、世界各国(26か国)で、海、河川、湖沼など船外機が使われる場所での「清掃活動」を継続して来ており、その一環として、船外機そのものを使って、海水をきれいにしようとか、スズキ製品の枸杞包装からプラスチックを排除し紙製素材に変えたりしています。価格は未定です。
画像:スズキ社のWEBサイトより
No.276
となりのおじさん
在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで
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