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ちょっと役立つ 日本の新製品

【ちょっと役立つ 日本の新製品】二酸化炭素量を瞬時に測定、資源化も!

 最近は温暖化対策として、多くの分野でCO2(二酸化炭素)の排出量削減のために様々の努力がなされています。しかし我々は、具体的に大気中のCO2量を測定したことはなく、どのような測定器が存在するかも知らないでいました。このほど従来の200分の1の手のひらサイズで、150倍も早いわずか1.7秒位で正確にCO2の量を測定する技術が開発されたので、ご紹介します。

 通常、工場などからの排出ガスは複数の成分を含んでいます。検出センサーを成分ごとに準備し、それらの成分量を測定する方法が採られます(ガスクロマトグラフィー法)。従って、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)などを3種類以上含む混合ガスの場合には機材が大きくなり、測定時間も長くなりがちだったのです。

 それを東芝が、複数のガス成分を同時にしかも高速で測定できるように、装置の微小化、高速化に成功しました。超小型化された複数ガス対応の、電気回路とセンサー活動化構造を一つの基盤の上に一括形成し、各センサーが検出したガス成分値を即時に計算し表示するのです。これまでは収集した排気ガスを持ち帰って分析していたのを、その場でリアルタイムで直接測定でき、信頼度の高い「カーボンフットプリント」データが取得できるのです。

新技術での熱伝導型ガスセンサーの基盤の仕組みと動作原理:東芝のウエブサイトより

 CO2は一概に有害というわけではなく、資源化することが出来ます。つまり、再生可能エネルギー電力を使って、CO2を分解し化学品に再生する「P2C/Power to Chemicals」技術や、CO2H2から、天然ガスの主成分であるメタンを合成する「メタネーション」技術です。それらではCO2を電気化学反応により分解したり、別のガス成分と反応させたりして資源化します。高効率に資源化するには、反応中のガスの成分や濃度をリアルタイムでモニタリングしながら、ガスの反応条件を最適な状態に制御する必要があります。ここに、今回の測定センサー技術が生かされるのです。

 ガスセンサーとしては、「酸化物半導体型」、「接触燃焼型」、「熱伝導型」の3種がありますが、「熱伝導型」がガスの非毒性がなく、ガスの種類によって熱伝導性が異なる性質を利用してガスの濃度を測定します。今回はこれを採用し、他の課題も併せて改善できたというわけです。今後、2026年を目処に実用化を進め、各種排出ガスの測定分析とCO2の資源化の効率化を進めていこうとしています。未来技術に期待しましょう!

No.345

となりのおじさん

在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで

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