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【ちょっと役立つ 日本の新製品】ついに食品に?! フード3Dプリンター
従来、工業製品の構造物を生成するのに使われてきた「3Dプリンター」が最近、金属などの材料の代わりに柔らかい材質、たとえば、食材を原料にして、見栄えの良い食品形状を生成することなどに使われ始めてきました。「フード用3Dプリンター」というのがそれです。主な仕組みは、ペースト状にした食材をノズルから射出し、縦横に動かしながら積層するというものです。つまり、食べ物を造形できる機械のことです。
食とサービス(和洋菓子、介護食、人工肉、培養肉など)を組み合わせた新しい分野での技術です。原材料溶液をレーザーで加熱、糊状にして積層し、立体構造を作るのです。色彩には野菜の粉末を利用し、水と混ぜてフードインクとし、薄い膜をたくさん重ねて造形します。この概念は長い歴史を持つ「練り物(かまぼこなど)」作りなど、よく似た分野がありました。噛む方向によって食感が変わるので、やわらかさだけでなく、嚙み切りのよさなども工夫される必要なのですが、フードインクは噴射方法によって多彩な生成が可能です。
柔らかいものを作る場合には、ブロック式、シリンジ式などがあり、プルンプルンで柔らかい食品や積層できない場合に利用します。また、ある程度の硬さを持つ食品生成には、スクリュー式で高粘度のデザートなどを作ったり、液槽レーザー式で弾力感のあるものを、あるいはパウダー式レーザ法で、パリパリ感や歯応えのあるものを作ったりします。もちろん、複雑な断面を持つ食品作りなどは大の得意技です。
この技術は、介護食での柔らかさの工夫や、お菓子作りでの面白い形の食品作りに大きく役立ちます。介護食を美味しそうに作るのは大変難しく、食材をドロドロにしたミキサー食は見た目の悪さに食欲減退です。高齢者などは栄養不足に陥りがちで、栄養があり、しかも美味しそうの見える食事を提供する上で、この技術は利用価値がありそうですね。
米や小麦、野菜、肉などを粉末にして保存し、食べるときに「フード3Dプリンター」で成形できれば、廃棄食材を減らすこともできます。今後は味、食感、見た目について、さらなる磨き・改善が必要になります。
画像:山形大学のウエブサイトより
No.344
となりのおじさん
在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで
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