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【ちょっと役立つ 日本の新製品】新小惑星発見! の夢をかなえるアプリ
ハワイ島のマウナケア山の頂上にある「すばる望遠鏡」は、自然科学研究機構国立天文台ハワイ観測所が運用する口径8.2メートルの光学赤外線望遠鏡です。しかし近くに住んでいる我々は存在は知っていても、その役割などは知らない人が多いと思われます。しかし最近、この望遠鏡で観察した「星」の天体映像を活用した「小惑星発見アプリ」が開発されていることが話題になっています。
初心者でも、天体観測に興味を持っていて、自分の天体望遠鏡で観測した天体画像があれば、それから新しい小惑星を発見できるというのです。
すばる望遠鏡で2014年から8年間に撮影した約330日分の夜の天体画像を参照出来、特定の天体領域を選んで、定点撮影された画像数枚を選択して、それらをコマ送りしながら、天体群の中で位置があまり変わらない恒星と区別することで、小惑星を探すのだそうです。慣れれば数分で見つけられるというのですが……。
そしてこのアプリで見つけた「星」の命名権も、国際天文学連合に対して申請できます。自分で見つけた星に、名前をつけることができるという画期的なものです。
このアプリの開発は、岡山県井原市にある、地球に接近する小惑星を監視しているNPO法人「日本スペースガード協会」の浦川主任研究員が行っています。元々の開発目的は、太陽系に存在する小惑星のデータを収集・研究すること。地球へ衝突するかもしれない小惑星を発見し、人類を守る活動に繋げることも目的のひとつだそうです。
倉敷のアマチュア天文家が2023年1月に撮影した「ZTF彗星」。これは2月に地球に約4200万キロの距離まで接近した。
国立天文台では、誰でもが専門研究者とおなじ方法や手順で天体の情報を集める「市民天文学」を啓蒙することを勧めています。アプリの名前は「コイアスCOIAS」と呼ばれ、高校生が小惑星を探すというアニメ「恋する小惑星(アステロイド)」にちなんで名付けられました。すでに試験版は稼働しており、7月には正式版が公開される予定です。
開発者は、「天文学の魅力を体感しながら、未知なる天体の発見に挑戦してもらいたい」と話しています。価格や動作環境については現在のところ不明です。
画像:日本スペースガード協会
No.340
となりのおじさん
在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで
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