ハドソン川にくじら
「今年の冬は、いままでにないくらい寒くなるよ」
ニューヨーカーたちがそんな噂をしていたのは数ヶ月も前のこと。そんな予想をはずし、今年は例年にくらべてあたたかい。あたたかいといっても、今日は雪が舞っていたのだけれど。例年ならこの時期、マイナス20度近くに下がる日もあるのを思うと、今年はめっきり過ごしやすい気候だ。
毎年、冬になり寒さがきびしさを増すに連れて、どこかあたたかい場所へと旅したくなる。その逆もしかり。夏の暑さを脱出してどこか過ごしやすい避暑地へと向かいたい。だが、じぶんの意思によって世界を自由に旅できていた頃が、まるで幻だったかのように、2020年は移動に大きな制限がかかる年となった。今まで、当たり前のように旅にでかけていたころがとてもなつかしく、決して当たり前ではなかったのだと、あらためて気づかされる。
わたしたち人間が自由に旅することが難しい現状を迎えている中、自由に旅している生き物たちもたくさん存在している。
そのひとつが、くじら。今日のラジオから聴こえてきたDJの会話が、わたしの心をときめかせた。なんと、ハドソン川でザトウクジラが目撃されているという。数年まえからハドソン川でのクジラ目撃情報はたくさんあったが、今年も帰ってきたのだ。帰ってきたというのは、ザトウクジラは夏はすずしい北の海で過ごし、冬になるとあたたかな南へと移動するから。このことを、「回遊」というのだけれど回遊途中に、ハドソン川を通過しているクジラたち。
昔のハドソン川は、水質がよくなかったと聞いた。しかし、最近は水質が改善され、きれいになったこともあり、クジラが通過するまでになった。素晴しいことだなあ。
ザトウクジラは、年間、数千キロも移動を繰り返し、これから迎える冬になると南のあたたかい海で後尾や出産、子育てをする。
以前、ハワイに住んでいた頃は冬によくクジラを見ていたなあ。ハワイの海で子育てするザトウクジラたちの群れによく遭遇していたことを思い出すと、心がほっこり癒される。
2020年、わたしたち人間にとっては旅にも出られず、世界的にさまざまな困難が巻き起こっているが、地球にとってはやさしい年。人々の移動が急激に減り地球の空気も海も見違えるほどきれいになっている。地球の変化によって、ザトウクジラも動物たちも生き生きと暮らせているとうれしいな。
わたしたちは、ひとつの地球を共存するなかまたち。今日も、わたしたちの目に見えない海の底や空のうえでは動物たち、そして自然がともに生きてる。
ラジオから聴こえてきたハドソン川のクジラのニュースに、大切なことを思い出させてもらった1日だった。
私の旅ストーリー
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart
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