週末、用事があってソーホーへ行き待ち合わせ場所で友人を待っていたときのこと。カメラを持ったひとが待機していた。「なにかのイベントかなあ?」すると、カメラの男性がカメラの女性に「きた!」と合図。人混みに隠れるようにそっとカメラをかまえた。
そこにやってきたのは男女のカップル。30代半ばくらいだろうか。白い肌の細身長身男性。それにアジア系のかわいらしい女性。
キャンドルの灯ったアパート入り口まえでふたりは足をとめてた。「なつかしいねえ。ぼくたちがはじめて暮らした場所だね。ここからいろんなことがスタートしたね」。男性が女性にそう話を始めた。女性も「なつかしいわ! しかも、キャンドルがともってるなんて、まるでおかえり、っていってくれてるみたい」。話しの流れから、ふたりは生粋のニューヨーカーではないようだ。
そこで、細身長身男性が記念にこのアパートのまえで写真を撮ろうと彼女に、提案。女性も賛成。細身長身男性が携帯を取ろうと上着のなかに手を入れ次の瞬間、出てきたのは指輪の入ったあの箱だ! 女性の顔はキョトンとしている。すかさず細身長身男性がひざまづいた。
遠目に一連のながれをみていたわたしもどきどきが絶好調。たまたま目の前にいるおふたりのその、一生の瞬間を息をのんで見守る。
男性は指輪の入った箱をパカっと開けて緊張の中にもやさしい笑顔で彼女の前に差し出した。そして、このひとこと。
”Will you marry me?”
キョトンとしていた彼女は一気に笑顔と泣き顔が同時に入り乱れ次の瞬間、男性に思いっきり抱きついた。
”Yes Yes!!!!”
絶頂の瞬間を見逃すまいと、カメラマンが近寄ってシャッターを押す、押す、押す。なんていう幸せな瞬間を見せてもらってるんだろう。
ふたりの前を通り過ぎていく大勢のひとたちも事情を察して、拍手がおこり、やがて祝福の音色のように広がった。通りすがりのひとたちでさえもみんなが一緒にその場を喜んだり楽しんだりする。ニューヨークのこんなところがわたしは大好きだ。
感動の中、隣のコーヒーショップから彼女のご両親らしき方が登場。アジア系の彼女はもうびっくりの連続で涙が止まらない。 「〇〇、おめでとう! 本当によかったね」とお母さん。「ありがとう! お母さん! ずっと会いたかったよ! コロナでずっと会えないでいたから心配してたんだよ。信じられない! 夢じゃないかしら」。
そういって、お母さんとお父さんに抱きつく彼女。わたしも何年も会えていない両親のことが心に重なり、涙。久しぶりの再会、そしてプロポーズの瞬間にご両親までも一緒に見守っていたなんて! 細身長身男性さん、Good Job!!! だね。
日常の中に巻き起こるしあわせのドラマ。今日もわたしたちは自分主役のドラマを生きている。
私の旅ストーリー
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart
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