“好き”を生きる
9月に入り、めっきり涼しくなってきたここニューヨーク。経済も徐々に再開していく中、もちろんまだまだ、たくさんのチャレンジがある。しかし、「ニューヨークタフ」ということばが日々、いたるとろこから聴こえてくるように、どんなことがあろうとも簡単に転ばないニューヨーカーたち。たとえ転ぼうとも、何度でも起き上がるその姿は、大きな学びと勇気を与えてくれている。
そんなニューヨークで、久しぶりに心から「生き返った」と思ったできごとがあった。
夫アダムの幼なじみが所有するマンハッタンクルーズ会社のヨットが、ジャズクルージングを再開させたという、うれしい連絡が届いたのだ。早速、わたしたち夫婦はハーバーへと駆けつけた。
ここ半年ちかくの間、不必要な外出は控える自粛生活を送っている。そんななかで、感性を直に刺激してくれる生のひと、音、もの、経験…。いままであたりまえのように接していたこの経験たちがいまではすべてがなつかしく、愛おしい。
ヨットにぷかぷかと揺られ、ハドソン川からマンハッタンの、それはそれは煌びやかな摩天楼の輝きを見つめる時間。ふるさと、香川県を想いだす、やさしい潮のかおりがそっと顔を通り過ぎる。
遠くには、いつもと変わらず不動の、そして圧巻の佇まいをみせる自由の女神。自由の女神をながめているとなぜか、「すべては大丈夫だ」という根拠のない自信がわいてくるから不思議だ。
心を清らかに洗ってくれる波の音は、最大の癒しをもたらしてくれ、同時に心弾む久しぶりのリアルなトランペットの音色。生かしたニューヨークジャズ。
そしてそして、友人とのハグ。リアルな人間の愛あるぬくもり。
いつでもどこでも友人とハグしてキスして。そんな近い距離にあった友人たちともいま、簡単に身体を近づけることさできない、世の中のこの状況のなかでのハグ。心から身に沁みた。
たった2時間半の時間だったけれど、心がすっかり元気になり、この半年間の溜まっていたいろいろな感情がすべて浄化され帳消しになったような、すがすがしい満たされた気分になった。
好き、好き、好き……。人生は、「好き」をみつける旅みたい。本当の自分を生きる旅の、新たなはじまり。出発だ。これからも地球でいっぱい遊ぶぞ〜。わっしょいわっしょい!
どんな状況であろうとも、今日与えられた1日に感謝することはできる。そして、その1日を明るく楽しい気分で過ごすのか、暗くつらい不安な気分で過ごすのか。それもぜんぶじぶんで決めることができる。
わたしは、どんなことがあろうとも、今生かされてるこの瞬間の奇跡を大事に、明るく元気な気持ちで過ごしていきたい。そう心に思った。
私の旅ストーリー No.208
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart