新しい出発のとき
陽が落ちるのがすっかり早まり、夕方、鈴虫がなき始めたここニューヨーク。いまだに、ほぼ自粛生活を送るなかで、2020年の夏はあまりにも早く過ぎ去ろうとしている。何が起きようとも、地球は回転し、季節は巡っている。
3月からの長い長いステイホーム生活から、やっと少しずつ乗り越えつつあるここマンハッタン。連日、引っ越しのトラックを見かけることが、いつも以上に増えている。例年、夏の間マンハッタンを離れるニューヨーカーたちが、もう、マンハッタンにはそのまま戻って来なくなったり、新期の9月をまえにしてマンハッタンを去ることを決めるひとが続出したり。
ここ数日、私自身もまわりの友人知人から、ニューヨークを離れるという報告を幾度となく受けとることになった。NYに来て20年、30年以上の歳月を過ごしてきた人たちがいま、ニューヨークを離れる決断を下している。
決断を下した人たちの生き方をみていると、選択肢は無限にあるのだということに気づかされる。今こそ、新しいことに挑戦したり、今までやりたいと思っていたことを見つめ直したり、国へ帰ったり、アメリカの他の州へと引越したり、はたまた、他の国へと移住を計画したり。
今月に入り、「手放す」というキーワードがよく飛び込んでくるようになった。いままでのライフスタイルを手放してみる。いままでの働き方を手放してみる。いままで住んでいた土地を手放してみる。いままでがまんして付き合っていた人間関係を手放してみる。
小さなことから、大きなことまでもうエネルギーの合わなくなったものをいま、どんどん手放していく。そして、新たな扉をあけて一歩を踏み出す。そんな出発のときを迎えているタイミングの人たちが多いように感じている。わたしも例外なく、いま、人生においての最大の手放しが起こっている。
いままでうまくいっていた人間関係が上手く行かなくなったり。傷ついても向き合うことが、たとえ痛みをともなうものであったとしても、新しい出発に向けてのプロセスとして、日々の生活のなかで巻き起こっている。思い切って手放し、新しい世界へと飛び込んでいく。
世界でいま、起こっている信じがたいこの状況は、新たな出発の機会をわたしたちひとりひとりに、今まで以上にわかりやすいカタチで、地球が、宇宙が、おしえてくださっているのではないだろうか。すべては、じぶんが選択できる。本当に本当に望む生き方を実現するためには、もう必要のないものは手放しが必要なんだなあ。
手放すことを決断できたひとが味わうことのできる、新しい世界。わたしも、次なるステージへじぶんを連れていこうと思う。
私の旅ストーリー No.207
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart