再開の第一歩
2020年3月からはじまった自宅待機。長く長く先のみえない道のりを、1日ずつ乗り越えていく。そんな日々がはじまってはや3ヶ月。ついにここ、ニューヨークでもフェーズ1となる一部のリオープンの再開がはじまった。これから、今月の半ば過ぎにフェーズ2の再開も予定されていて、待ちに待った再起動に向けて街がまた動きはじめた。
すぐにその変化を目の当たりにしたのは、街の音。ロックダウンになり3ヶ月もの間閑かに眠っていた街の音が、ここ数日で、以前の活気にあふれるマンハッタンの音にもどってきている。「静」からいきなりの「動」に少し困惑したけれど、それも1日で慣れた。いつもならうるさく感じていた音も、今となればなつかしくて心地よささえ感じられる。
待ちに待った、フェーズ1再開、待望の日。自宅待機以来、毎晩午後7時になるとおこなわれていたニューヨーカーたちの声援タイムに、はじめて声があがらなかった。3ヶ月もの間、毎晩同じ時刻になると、アパートの窓の向こうから人々が声援を送り合っていた。第一線で、命がけで人命救助にあたってくださっているエッセンシャルワーカーのみなさんにむけての声援だ。この声援タイムは、やがて、ニューヨーカーたちの心と心を結ぶ、貴重な時間となり街中のあちこちから、ひとびとの声が鳴り響いていた。
声が聞こえなくなったことは少し残念に思ったけれど、それも、状況は変化していっているというサイン。ニューヨーカーは、いつも潔い。つねに、前へ前へと進んでいく。
前へと進んでいるサインは、もうひとつ見られた。ここ3ヶ月間、私たちを励ますため、赤色をして心臓の鼓動を脈打っていたエンパイアステートビルが、ついに色を変えたのだ。赤から白へ。
さあ、はじまるよ。いまからまた新しくあなたの色を、あなたの世界を彩っていってね。そういわんばかりの真っ白い光がマンハッタンの夜の街をそっと照らし、煌々と輝いた。その白い光を見上げながら、大きな希望が沸き上がるのを感じた。
いま、大変革の最中にいるわたしたち。そんななかで、今というときは、着々としっかり前へと進んでいる。まだ、それははじまったばかり。これからさらなるチャレンジも待ち受けているかもしれない。
しかし、この3ヶ月間でわかったこと。それは、たとえ先の見えない真っ暗やみのトンネルの中にいたとしても、その先には光があるということ。
そう、かならず光が待ってくれている。
私の旅ストーリー No.199
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart