新しい世界へ
私の住んでいる街、ニューヨークは今日も静かに1日がはじまった。24時間365日眠らない街が、静まり返るなんて、こんなにも現実離れした世界を経験するとは思ってもいなかった。
ロックダウンとなり、レストランもお店も、オフィスも、美術館もギャラリーもミュージカルも、ニューヨークの街を象徴する多くのものが幕を閉じている今、この街は、ひっそりゴーストタウンとなっている。
富裕層の、多くのニューヨーカーたちがまちを脱出し、普段より建物の窓からみえる灯りが少ないマンハッタンの夜空を、今宵はスーパームーンが煌煌と照らしている。
お月さまが、これほどまで明るい輝きだったとは! ハワイにいたときは、自然とつながっている一体感があったけれど、ニューヨークに越してきて以来、そのつながりが途切れていたことすら気づいていなかった。
いま、お月さまからのひかりを浴びながら、また自然とつながるなつかしい、その感覚を思い出せたような、ホッとしたような不思議な感じを味わっている。
世界中が、新型コロナウイルスの影響をうけ、その被害が爆発的に広がる中で、たんたんと静かにときは進んでいる。
強制的に、いままでの生活が急に絶たれ、いままでの生活のかたちはすがたを消した。しかし、いま、こうしている間にも、宇宙は、地球は、自然はめぐっている。
生きている間に、ハリウッド映画並みいや、それ以上の非現実ないまの日常を経験するとは思ってもいなかったが、想定外のことが巻き起こるのもまた人生だ。
今回のことで、ニューヨークは自宅待機となってはや3週間。その間、いつもよりもたっぷりと時間もあり、外にでることも、息抜きで友人と会うことも、レストランやバーへいくことも、仕事へいくことも一切できない。
今までになかった、新しいカタチの日常がはじまり、自分と向き合う時間が極端に増えた。夜の灯りが眩し過ぎて今まで見えなかったマンハッタンの夜空に、星がたのしそうに輝いているのをみつけたとき、なにか、忘れかけていた大事な大事なものを思い出せたような気持ちになった。
いま、世の中が一斉に大変革を起こしている。もう、あとには戻れない。古いを捨てさり、新しい世界へとダイブするだけ。飛び込んだ先には、どんな世界が待っていてくれているのだろう。
いまは、その先の世界に希望のひかりをみようと思う。
私の旅ストーリー No.192
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart