ニューヨークのお寿司屋さん
2月に入り、何度も吹雪のニューヨーク。それが一転、ここ数日は抜けるような青空。街を歩いていてふと春のにおいがどこからともなく風に乗ってやってきた。待ちに待った春は、もうすぐそばまできているんだという春の気配。心が躍った瞬間だった。
先日、誕生日をむかえディーナーにえらんだお店はマンハッタンにある老舗のお寿司屋さん。80年代にニューヨークタイムズに取り上げられ、それ以来ニューヨーカーたちに「SUSHI」文化を根付かせたという発祥のお店だ。このお店、じつは高校時代の同級生Mちゃんが嫁いだ先だった。
高校を卒業後、それぞれの道を行った私たちは連絡が途絶えたままになった。それが数年前、再会は突然やってきた。わたしが再びニューヨークでの暮らしをはじめていることを知った共通の友人が連絡をくれた。なんと、Mちゃんもニューヨークで暮らしているというのだ!
香川県の高校生だったふたりが、知らない間にニューヨークでおなじ時間を過ごしていたなんて。もしかしたら、街ですれ違っていたかもしれない…。驚きと感動ですぐさまMちゃんに電話をし、話をしたことを今でも鮮明に想い出す。
前置きが長くなってしまったが、Mちゃんのお店に行こうと思って1年がすぎた。理由は、コロナでレストランでの飲食が今までのようにはできなくなってしまったからだ。屋外テラス営業をしていないレストランは、デリバリーとテイクアウトが主流。レストランでの店内飲食はお預け。
そのお預けが解禁になる日がやってきた! 25%という限られた制限付きではあるけれど、偶然にも、誕生日とおなじ日にお店の店内営業が再開されるという。そんな日に、お店に行けるなんて、なんてラッキーなんだ!
寿司職人が握る。それをみながらカウンター席でゆっくりとひとつひとつを味わっていく。久しぶりに本格的なおいしいお寿司を堪能できたよろこび。そして、お店の再開をよろこんでいるお客様たちのいいエネルギー。オーナーの心遣い、笑顔。つかの間の時間だったが、2年以上日本に帰国できていないわたしにとっては夢のような「日本」を味わい感じることのできる時間だった。
美味しいお寿司をいただくことでこんなにも心が癒され、元気になれるんだということがとても嬉しかった。日本人の大事な心を想い出させてもらえたような、心が満たされる、そんなあったかい体験だった。
これがもし、今までのように簡単に日本に行き来ができていた生活だったとしたら、ここまでの感動は味わえてなかったかもしれない。気づきもなかったかもしれない。
様々なことを大きな視点から捉えてみると、いま、起きているできごとは結局、すべて善きことへとつながっているように思う。
私の旅ストーリー
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart
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