5年振りの大雪となった今週のニューヨーク。ひさしぶりの吹雪と積雪。除雪車の音が一晩中鳴り響いた翌朝。家の前の道路はきれいに雪がなくなり、車やバスがスイスイと走っていた。こうやって、いつもかげでひとが動いてくださっているおかげで、私たちは不自由なく生活をすることができている。とってもありがたいことだ。

　氷点下のニューヨークは、雪がつもりあたり一面の銀世界になると余計に寒さが増して感じる。久しぶりに会う友人と合言葉のように「あたたかいものをたべよう」と約束しあう。

　ニューヨークはまだ、屋外しか食事ができないため、氷点下のなかで凍えながらの食事。分厚いダウンコートも、頭にかぶったあたたかい帽子もぬがずに席につき、そのまま食事をはじめるというパターン。脱ぐのは手袋とマスクぐらいだ。

　多種多様なひとびとの暮らすここニューヨークでは、世界中の食べ物を食すことができる。パンデミックのいま、世界への旅行を制限され、いままでのように行きたいときに自由に旅することが難しくなった。そんな状況のなか、食を通して異国へと旅行した気分を味わえるのはとてもありがたい。

「今回は、どの国へいこうか？」「そうだね、どこがいいかな韓国はどう？」

　コリアタウンでは本格的な韓国料理を味わうことができる。友人と即決でマンハッタンにあるコリアタウンの豆腐鍋を食べにいこうと決定。街を歩くと韓国語が耳に飛び込んで来て、目にみえるのはハングル文字。ひとつ角の信号渡る前の世界がまるで別世界のように、一瞬にして韓国に迷い込んだような、特別な気分にさせてくれる。

　レストランのアウトドアスペースは、四方八方にヒーターを完備。しかし、ニューヨークの寒さは、その努力もむなしく一瞬にして抵抗してくる。

　ぐつぐつと音をたてながら豆腐鍋が目の前に運ばれてきた。凍えた身体をあっためるには最高！ 一口、二口と豆腐鍋を堪能すること数分。あれだけぐつぐつ煮え立っていた豆腐鍋もすっかり冷えて冷たいスープになってしまった。

　それでも、友人とあえることそしてたとえ凍えながらの屋外スペースでもレストランで誰かがつくってくださる美味しい食事をいただけるしあわせ。

　コロナ前にはあたりまえと思っていたことが、いまは心底しあわせを噛み締めることができる。ふつうのことがどれだけしあわせなことで、大きな喜びなのかということを、ひしひしとおしえてくれる日々。

　豆腐鍋は1分で冷めてしまったけれど、心はぽかぽか。ああ、今日も生かされてる。ありがとありがとう。