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【My Destination】第3章 「再挑戦」ハワイ 最終回 “はじまりのはじまり”
今回も、「幼少からの夢」へのチャレンジまでの残された時間をハワイで過ごしていた時の話を続けたい。
ハワイ到着から数日後、常宿の部屋の電話が鳴った。「こんにちはー」と懐かしい声。声の主は、私が1998年から2000年にかけて所属したラクロスのクラブチーム“Silverbacks”の後輩。数年前にハワイに移住した彼は、今回の私の滞在を聞きつけ訪ねてくれたのだった。
実は、彼と私は一緒に同じチームにてプレーしたことは無い。私がMBA留学のために同チームを去った時、入れ替わるような感じで社会人一年目の彼が入ってきた。それまでも練習試合などを通じてお互いのことを認識していたものの、それ以上の深い付き合いは無かった。だから久々の再会とは言いつつ、訪れたジャパニーズ居酒屋ではそれぞれの近況だけでなく、過去の経緯なども改めてシェアすることになった。
酒が進むと自ずと普段口にしないような話も出てくる。普段は、MBA留学時代の労苦などは滅多に口にしないのだが、海外に居るということも手伝ってか、つい口にした。その時彼の顔つきが変わった。「それ新聞で書いてくれません?」と彼は座り直して語り始めた。
「僕がマネージャーを務めているニッカンサンの読者には、高齢の日系人もたくさんいらっしゃって、その人たちは多かれ少なかれ若い時に苦労をしてきています。先輩のアメリカ中西部での過酷な生活環境や、苦労してアメリカ人のクラスメイトから信頼を勝ち取っていったこと、そして最終的にはMBAを首席で卒業という話は、多くの読者の共感を呼びます。いかがでしょう?その時の話をコラムとして書いてみませんか?」
彼からは、私のコラムの採否を会社として決めるため、数回分の原稿を数日内に送ってほしいといわれた。それからはコラムの構想が常に頭から離れなかった。 米国時代の話を書くのは問題ないし、当時頼まれてブログに寄稿していたりしたのでネタには事欠かない。しかし、いきなり当時の苦労話などを書いても読者には唐突感があるだろう。だったら、そこに至る経緯も説明しなければならない。そう考えた私が筆を執ったところ、“時は1994年。数年前に発生したバブル崩壊をもろにくらった中での過酷な就職活動・・・”という描写が自ずと始まっていた。
帰国の数日前。前回と同じ居酒屋で後輩と再会した。彼は開口一番、「先輩、採用決定です。これから末永くよろしくお願いします」と握手を求めてきた。この連載のはじまりは、かくして始まったのであった。
(次回につづく)
No. 245 第3章 「再挑戦」
Masa Kokubo
1995年中央大学法学部卒。損害保険会社勤務後、アイオワ州の大学院にてMBAを取得。その後、メガバンク、IT企業を経て、現在はグローバル企業にて世界を相手に奮戦中。趣味はサーフィンとラクロス。米国生活は通算7年。
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