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【My Destination】第3章 「再挑戦」IPO(株式上場)準備再び
(前回まで)「世界をまたにかけて働く」ことを幼少からの夢としていた私は、意と反して損害保険会社に入社。順風満帆な生活を送っていたが、会社が急きょ経営破たん。その後の人生を切り開くために渡米しMBAを取得。その後メガバンク勤務を経て、新たなキャリア形成のため、渋谷にあるベンチャー企業の門を叩く。その中で一旦子会社の副社長を経験、2009年4月1日付でベンチャー企業に復籍した。
2006年2月に、経営企画のイロハを一から学ぶためにこのベンチャー企業に転職したのだが、その業務の中でも重要なポジションをしめるものがIPO(株式上場)の準備であった。多くのベンチャー企業は株式売出しに伴う資金調達のほか知名度向上などを目的としてIPOを目指す。その例に漏れず、当社も創業以来虎視眈々とIPOを一つのゴールとしてきたのであった。
過去に寄稿したが、このベンチャー企業に転職した2006年2月から私はすぐにIPO準備に投入された。そして、紆余曲折がありながらも幹事証券会社の審査を通過し、いよいよ東京証券取引所に対してIPO申請を行う、というところで株主の一人に黒い噂が持ち上がり、そこで幹事証券会社が降りてしまった。その後、別の証券会社に主幹事をお願いしたのだが、様々な理由でまた別の会社に幹事を変更していたそうだ(ここで「…そうだ」という表現を使用したのは、当時私は子会社に転籍していたためIPO業務からは完全に離れていたからである)。
2009年4月に私は子会社から帰任し再びIPO準備を託されたのだが、IPO準備自体はそんな経緯を経てみずほインベスターズ証券を主幹事会社として着々と進められていた。この準備作業は同社の公開引受部という部門がリードしていたのだが、それはその後待ち構える証券会社内の審査、そして本丸である証券取引所による審査を通過するためのものであった。合格のために、改善が必要な点などに対して時には厳しく指導される。その指導を会社に合うように実装していくのが推進役である我々の役目であるのだが、子会社赴任前の実行部隊の責任者であった私を加えたことでその準備作業は加速していった。
内部管理体制の構築が出来、加えて成長性、すなわち会社の売上や利益が上向いてくると、いよいよIPO準備も最終段階の「審査期間」に移行する。それまで時には「敵」のような存在だった公開引受部は完全に我々IPO事務局と一体化したチームになり、審査を行う「審査部」を仮想敵国と見立て対策を練る。そんな説明をわざわざするのも、それくらい証券会社の審査というものは厳格なものであって、我々「受験生」から見れば、審査部はまるで合格者を出さないことがミッションであるかのように見えたからであった。
(次回につづく)
No. 212 第3章 「再挑戦」
Masa Kokubo
1995年中央大学法学部卒。損害保険会社勤務後、アイオワ州の大学院にてMBAを取得。その後、メガバンク、IT企業を経て、現在はグローバル企業にて世界を相手に奮戦中。趣味はサーフィンとラクロス。米国生活は通算7年。
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