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デジタル版・新聞

My Destination

【My Destination】第3章 「再挑戦」ご縁 Part 2

(前回まで)「世界をまたにかけて働く」ことを幼少からの夢としていた私は、意と反して損害保険会社に入社。順風満帆な生活も束の間、会社が経営破たん。その後の人生を切り開くため渡米しMBAを取得。メガバンク勤務を経て、新たなキャリア形成のため、渋谷にあるベンチャー企業の門を叩く。それから7年が経過して「幼少からの夢」を追いかけることを決意した。

 2013年3月最終週のある日の午後。勝負服に身を包んだ私は新宿NSビルの前に立っていた。約半年前に、人生で最後の勝負と名打って開始した夢へのチャレンジは、これからの1時間で全てが決まる。思えばここまで長い道のりであった。経営企画マンとしてのキャリアを積むためこのベンチャー企業に転職し、その目的は叶った。その先に求めるものとして、幼少からの夢であった世界をまたにかけて働くことに挑戦することにしたが、経験を優先する日本の転職市場では私のような未経験者のチャレンジャーにとっては非常に狭き門であった。

 そのような中、目を見張る会社があった。私の専門は経営企画であり、会社の経営状態や競争環境の分析はお手のものである。その私に「これは掘り出し物だ」と思わせる優秀な会社であった。ダメもとで挑んだ書類審査が通り、それから複数回の面接を通して夢にチャレンジするなら是が非でもこの会社でと思うようになったのだが、それはこの会社の社風が新卒として入社した第一火災海上保険に通じるところがあったからであった。

 会社の入口で名前と用件を告げると、人事担当者が現れ、最終面接が行われる応接室に通された。ドアをノックすると中から「どうぞ」の声。ドアノブを回して中に入った私は自分の目を疑った。

 面接官であるこの会社の社長から受けた印象は、私の一番最初の上司である「鬼のジン」を彷彿させた。長身で清潔感がある容姿もさることながら、その醸し出すオーラが非常に似ていた。

 これで大勢は決した。私が志望している会社のトップ(おそらく経営企画という職柄、この方と一緒に働く機会は多い)は、自分がもっとも敬愛する人物に似ている。これ以上の理由はない。何という運命のいたずらか。自分が人生をかけて挑戦したいフィールドには、自分が最も慣れ親しんだ環境が用意されていた。

 実はこれにはちょっとした前段がある。前回の面接でこの会社の雰囲気は第一火災海上に似ていると思ったのだが、その大きな理由の一つは面接官であった経営企画担当役員が、第一火災海上の最初の部長(即ち鬼のジンの上役)に非常に似ていたのであった。その部長は直情的な鬼のジンとは正反対で、常に冷静で穏やかな空気を醸し出していた。私が今回会った経営企画担当役員もまさに同じだった。このようなことが既に起きていたところに、今日会った社長を、鬼のジンに重ねて見ていたのかもしれない。

 この会社からの内定通知が届いたのは、この時からしばらく経った4月中旬のことであった。2年前の東日本大震災の痛手から脱却しつつある中、数か月前に誕生した第二次安倍内閣に対する国民の期待も大いに高まり、国全体にパワーが漲り始めていた。人生をかけた新たな挑戦を行うのに、絶好の環境が整いつつあった。

(次回につづく)

No. 235   第3章 「再挑戦」

Masa Kokubo

1995年中央大学法学部卒。損害保険会社勤務後、アイオワ州の大学院にてMBAを取得。その後、メガバンク、IT企業を経て、現在はグローバル企業にて世界を相手に奮戦中。趣味はサーフィンとラクロス。米国生活は通算7年。

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