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My Destination

【My Destination】第3章 「再挑戦」旧友と、サーフィンと

(前回まで)経営企画マンとしてのキャリアを積むため、渋谷にあるベンチャー企業に転職した私。入社から1年半後、子会社であるQAM社の立て直しのため副社長として転籍。数々の生みの試練を乗り越え、あともう一歩で会社が軌道に乗るというところで、最大の協力会社が経営破たん。それを機に、私は断腸の思いで親会社に吸収合併してもらうことを決意した。

 200941日付で親会社に再入社した当初は、不在の間に大きく様変わりした会社に戸惑っていたのだが、時間の経過と共に徐々に仕事のペースを掴み、梅雨が明けるころには何も違和感を持たずに日々の業務にあたることが可能となっていた。そうなると、子会社在籍時は犠牲にしてきたプライベートにもゆとりを持って向き合うことが出来るようになってきた。ただ、この時は、それまで人生をかけて向き合ってきたラクロスからは完全に身を引いていた(第199回および200回ご参照)。そんな時、一本の電話があった。電話の主は、最初に勤務した損保会社での一番の盟友であった洋介先輩からであった。

 だいぶ前に寄稿しているが、損保会社在籍時、洋介先輩と私は同じ営業推進部に所属し、身命を賭して会社の成長に貢献してきた。毎日、職場で朝早くから夜遅くまで意見をぶつけ、一日の締めは飲み屋で酒を片手に将来を語らいあった。加えて、共に海好きだったことも手伝い、自然とサーフボードを手に海に向かうこととなった。そのような蜜月関係も私の米国留学によって一旦中断、帰国後もメガバンク、ベンチャー企業と目まぐるしい環境変化で手一杯になっていたことから疎遠になっていた。そのような中の電話であった。

 先輩からの電話の内容は、鎌倉に家を新築したから遊びに来ないか? とのことであった。身を持て余していた私は、その週末には既に洋介先輩の家にいた。海から数分のその家の庭に作られたウッドデッキの上でバーベキューを行い、ビールを交わしながら近況を語り合った。8年近くのブランクも瞬く間に解消され、四谷で終電近くまで語り合ったような空気に包まれた。そのような時、先輩が親指を立てながら、「海行くか?」と誘ってきた。断る理由は、ない。

 10年ぶりくらいに引っ張り出してきたサーフボードで、10年ぶりに洋介先輩と共にパドルアウトした。湘南の海は、そんな私たちを優しく迎えてくれた。久々だったこともあり、まともに波を掴んだ数より波に巻かれた数の方が多かった。それでも終始笑顔で、至福の時を過ごせた。

 この時より、会社は違えど洋介先輩とも再び頻繁に会うようになり、結果としてプライベートが加速的に充実した。更には、サーフィンがラクロスから取って代わってプライベートの中心になり、それが今に至るまで続くことになるのである。

 帰国後約5年。やっと自分のペースで自分の生活を豊かにし、気持ちのゆとりをもって自分の人生に向き合うことができる体制が整ったのだった。

(次回につづく)

No. 210   第3章 「再挑戦」

Masa Kokubo

1995年中央大学法学部卒。損害保険会社勤務後、アイオワ州の大学院にてMBAを取得。その後、メガバンク、IT企業を経て、現在はグローバル企業にて世界を相手に奮戦中。趣味はサーフィンとラクロス。米国生活は通算7年。

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