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My Destination

【My Destination】第3章 「再挑戦」新たなる道へ

(前回まで)「世界をまたにかけて働く」ことを幼少からの夢としていた私は、意と反して損害保険会社に入社。順風満帆な生活も束の間、会社が経営破たん。その後の人生を切り開くため渡米しMBAを取得。メガバンク勤務を経て、新たなキャリア形成のため、渋谷にあるベンチャー企業の門を叩く。それから6年が経過し、経営企画室長として会社運営に無くてはならない存在になっていた。

 2012年晩秋。前回寄稿した通り、私は人生三度目となる転職活動に臨んでいた。40歳を目前とし、幼少からの夢であった「世界をまたにかけて働く」ことにチャレンジすることを決断したためだ。志望業界は今までの経験から自然と決まっていった。それは、世界に出て苦戦するような業界では厳しい。即ち、日本オリジナルであることがディスアドバンテージになってしまう業界は避けたい。そうすると、目線に現れたのは「製造業」であった。

 さらに、私は製造業のなかでも競争が激しい業界は避けた。特に、日本の競争力が低下している分野(例えば電機など)など。そうすると、狙うのは「ニッチ産業」と呼ばれる市場規模も小さめで、世間的にもあまり知られていない産業がターゲットとなった。

 この転職活動は、想定していた以上に苦戦を強いられた。まず多くの企業は、中途採用者に対してその経験値を求める。ところが私は海外ビジネスの経験もなく、また、製造業の経験もない。この時点で、私を目にとめてくれる会社は大幅に絞り込まれる。加えて、「ニッチ」という条件も付けたので、そこにヒットする求人案件は非常に限定的となった。苦戦している私に、転職エージェントがこう漏らした。「小久保さんは、経営企画で豊富な経験をお持ちなので、国内向けの経営企画職を狙っていけば、どこでも入れそうなのに」。どんなに苦戦しようとも私は自分が進もうとしている方向に寸分の狂いもなかった。それは、転職することが目的ではなく、自分の夢にチャレンジすることが目的だったから。

 夢を掴むということは、当然だが今働いているベンチャー企業を退職することになる。

 7年前に経営企画経験ゼロだった私を拾ってくれ、その上経験を積ませてくれた会社には大きな恩がある。でも、これでラストチャンスとなるだろう夢へのチャレンジは、その恩義を反故にしてでも行わなければ後で大後悔する。だから、残された時間でしっかり会社に貢献していくことで、少しでもそのご恩に応えようと誓い、転職活動を陰ながら開始してからも、会社で直面している仕事を一切手抜きしないどころか、鬼気迫る様相で仕事に取り組んでいた。そしてしだいに、本当に数社ではあるが、私に関心を持ってくれる会社が現れ始めた。

 そのようなある日、社長室に呼ばれた。そこで社長から切り出された話は私の度肝を抜くようなスケールの話であった。その話を聞きながらこれを成功に導くことが最大の恩返しだと思った。最後のご奉公ができる環境が整いつつあった。

(次回につづく)

No. 231   第3章 「再挑戦」

Masa Kokubo

1995年中央大学法学部卒。損害保険会社勤務後、アイオワ州の大学院にてMBAを取得。その後、メガバンク、IT企業を経て、現在はグローバル企業にて世界を相手に奮戦中。趣味はサーフィンとラクロス。米国生活は通算7年。

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