みなさん、こんにちは。夏休み中につき、再び日本からコラムをお届けいたします。

　帰省中、私は子供と一緒に長野県の蓼科高原というところに滞在しています。私の両親がこちらへ移り住んだために、別荘地にて山暮らし中です。こちらは、自然がとても豊富でハーブを栽培しているところや、自然食などのお店もあちこちにあります。あいにく、梅雨時期のため承知の上でしたが、雨ばかりが続いて自然を満喫とまではなかなか行きません。

　今日は、梅雨の晴れ間で太陽が朝から出ていて、家のデッキにパソコンを持ちだして仕事をしています。外に出ると、いつもフワッと花の香りがします。庭にある数本の木には、白い花が満開です。きっとこの花の香りなのかなと思い、何の花か父親に尋ねると、エゴノキと言うらしいです。

　調べてみると、北海道から沖縄まで、日本全国で見られる雑木だそうですので、実は身近にある植物なのだと言うことが分かりました。甘い香りで、ミツバチも飛んできています。香りのする花だと、すぐに精油は作られてないのだろうか、と思ってしまいますが、どうやらこの木は花よりも樹脂や木の皮を香りとして採取されていることが多いようです。香りの種類としては、バルサムと言って樹脂の持つ重く甘い香り。ウッディーでありオリエンタル調の香りの場合もあります。

　同じような香りではベンゾイン（安息香）があり、こちらもエゴノキ科です。バニラを思わせるような甘い香りがします。精油も樹脂から採取されるので、粘性の強いとろっとした精油です。

　ベンゾインは香水作りに使われることが多く、古くは、古代エジプト時代に防腐剤として使われた植物の一つです。呼吸器の強壮効果も高く、同じく樹脂から採れる精油の、フランキンセンスに似た作用ですね。

　さらに調べていくと、花はとても良い香りがするのですが、実には毒があるのです。鳥は好んでこのエゴノキの種子を食べるそうですが、人間は食べたところで美味しくないので、どちらにしても食べないようにと書いてありました（笑）。