さて、先日に続いて少しだけ日本でのお話をしたいと思います。私が日本に着いた次の日、安倍元首相が銃撃されるという、日本ではおおよそ考えられないような事件が起こりました。「アメリカだったらあり得るけど、まさか日本で銃犯罪なんて」というのが率直な感想でした。安全なはずの日本も、そうではなくなってしまったのか、と悲しく恐ろしい気持ちになったのを覚えています。そこからはそのニュースと、選挙特番ばかりのテレビを見るのに疲れ、甥っ子と一緒にNHKの子供向けチャンネルをよく見ていました。笑顔で元気いっぱい踊ってくださるおにいさん・おねえさん、そして必死に真似をする甥っ子に救われたものです。
東京にいる間の移動手段はもちろん電車。コロナ禍も少し和らぎ、パンパンの満員電車、ということはありませんでしたが、そこそこ混み合っていました。夏の暑さもあり、とても快適、というわけではありませんでしたが、時間通りに、安全に、そして安価で目的地まで運んでくれるありがたさを噛み締めました。
一方、故郷香川では車が必須。私たちもレンタカーを借りました。といっても、私はペーパードライバーなので運転はもっぱら妹。感謝です。車を飛ばして神戸や愛媛などにプチ旅行にも出かけました。神戸では須磨水族館や日本のCOSTCO、愛媛にはとべ動物園などに足を運びました。日本まで行ってCOSTCOか、とつっこまれそうですが、ハワイのそれとの違いを見てみたかったのです。予想していた通り、ハワイにはないものもたくさんありました。お寿司や牛タンなどの日本ならではの食べ物を筆頭に、ついつい買い過ぎてしまうのはハワイのCOSTCOに行った時と同じでしたが。
とべ動物園は、私が小さい時から家族でよく出かけた思い出の場所です。白熊のピース、というと聞いたことがある方も多いかもしれません。ライオンの赤ちゃんが生まれたばかりで、運よくかなり近い距離で見ることもできました。
そうそう、もうウン十年昔、象の見えるレストランがあって、そこで私は初めてのお子様ランチを食べたのです。なんと、そのレストラン、今も健在。そこで甥っ子に初めてのお子様ランチを買ってあげました。自分も年を重ねたのだな、と、口の周りを汚してニコニコしている甥っ子を見てしみじみしてしまいました。
なんだかしんみりしてしまったけれど、今回の日本への一時帰国を通して、改めて自分のルーツというか、そんなものを考えることができました。少し大袈裟ですが、小さい時の自分、将来が不安で仕方なかった中高生の自分、とにかく田舎を出たかった自分、東京で一人頑張った自分、そんな姿を映画のコマ送りのように見られた気がします。次に日本に帰るのはまだ少し先になると思いますが、次までにはもう少し成長していられれば、と思ったのでした。
CAN OF ALOHA No.84
金平 薫 (Kaoru Kanehira)
香川県出身、現在はハワイ某所にて武者修行中。 日々のあれこれを、ゆるりとお伝えできたら幸いです。美味しいものには目がありません。 なんでもない毎日は Instagram:kaoru_days をご覧ください。