つい先ほど、幽霊会員となっているスポーツジムから、もうすぐジム内でのマスク着用義務がなくなるとのメールが送られてきました。マスクをして運動なんてできるわけない!と言い訳をして足が遠ざかってから早数か月、ただジムに会員費という名のお布施をし続けている私にとっては、嬉しいような悲しいようなニュースです。
思えばコロナがハワイに上陸してから早2年。あの頃はまだ歩けもしなかった甥が、今では大人顔負けのスピードで走り回るようになりました。彼はきっと、大人になったときにコロナのことも覚えてはいないだろうし、今こうして世界が目まぐるしく動いていることも、歴史の授業で知ることになるのでしょう。そう思うと、学生時代、ただテストで点数を取るためだけに読んでいた歴史の教科書に急に重みが出てきたように感じます。
昔からどうも暗記科目が苦手な私は、世界史と日本史の授業には苦労させられました。少しでも好きになってみようと、大河ドラマや歴史ものの漫画やゲームをたしなんではみましたが、点数に直結することはなく、ただゲーム内のレベルだけが上がり勉強時間が減る一方。歴史が苦手というより、単に勉強が嫌いだったのでは、と今になって気づきました。その通り、大人になってから点数や成績を考えなくなると、途端に「歴史もの」にハマることも。最近の一押しは、よしながふみ著『大奥』。女が幕府を仕切り、男が大奥を成す世界 を描いたSF歴史ものの漫画です。面白くて、切なくて、気が付けば一気に読んでしまいました。
今こうして、エンターテイメントの一つとして楽しんでいる「歴史もの」の裏にも、私たちと同じ人間ひとりひとりの生きざまがあったのでしょう。もちろん、歴史に名を残した人たちだけではありません。町に生きた、山に生きた、海に生き た一人ひとりのドラマがそこにはあったのでしょう。私と同じように、毎日を時に一生懸命、時にぐうたらに生きてきた人たちの営みが、そこにはあったのでしょう。それは昔も、今 も、そしてこれからも変わりません。
私にできることには限りがありますが、それを忘れることなく、世界がより良いものになるよう祈り続けていきたいと思います。
CAN OF ALOHA No.75
金平 薫 (Kaoru Kanehira)
香川県出身、現在はハワイ某所にて武者修行中。 日々のあれこれを、ゆるりとお伝えできたら幸いです。美味しいものには目がありません。 なんでもない毎日は Instagram:kaoru_days をご覧ください。