先日、俳優のボブ・サゲットさんがお亡くなりになりました。65歳、あまりに若すぎる、そして突然の訃報でした。彼は、日本でも大人気のドラマ『フルハウス』でユーモアと愛情あふれるシングルファザーを演じ、たくさんの人を魅了してきました。かくいう私も『フルハウス』の大ファン。幼かった私に、アメリカという国への漠然とした憧れを与えてくれた思い入れのあるドラマです。かつてNHKで放送されていたので、私と同じ記憶のある方も少なくはないと思います。
一方、そんな「優しく温厚なお父さん」のイメージとは裏腹に、スタンダップショーやポッドキャストでは、下ネタやウィットに富んだユーモアを披露してくれていました。ここにはとても書けないようなジョークがポンポン飛び出すショーは、何度見ても笑ってしまいます。その意外な二面性もまた、私を惹きつけてやまなかったのです。いえ、もちろん私だけではなく、世界中を。
そして、彼は自身のお姉さんを強皮症という病で亡くしてから、強皮症リサーチ財団(Scleroderma Reaserch Fundation)に多くのサポートをしていることでも知られていました。彼の死後もまた、遺志を継いで『フルハウス』の仲間たちがチャリティを呼び掛けています。私も、彼の名前がプリントされたチャリティパーカーを買いました。その利益はすべて、前述の財団に寄付されるとのことです。もし彼がこの活動をしてくれなければ、私はこの病のことも知らず、ささやかながらチャリティをすることもなかったでしょう(もし興味がある方がいらっしゃいましたら、“Bob Saget Memorial Hoodie Benefiting SRF”とグーグルなどで検索してみてください)。
大ファンの俳優が亡くなるという経験は私にとって初めてで、思っていたよりも悲しみに暮れてしまいました。いつかコメディショーを生で見ることを夢見ていたのに、もう叶わなくなってしまったと思うとどうしようもなく切なくなり、彼の出演するドラマを見ては彼はもう映像の中にしかいないのだと思い、心にぽっかり穴が開いたような気持ちになってしまいました。自分の肉親や近しい友人というわけではありませんが、大切な人を亡くすというのはやはり悲しい経験なのだなあと実感しました。まだ完全に立ち直るには少し時間がかかるかもしれませんが、『フルハウス』全シリーズ一気見して、彼を偲びたいと思います。
CAN OF ALOHA No.71
金平 薫 (Kaoru Kanehira)
香川県出身、現在はハワイ某所にて武者修行中。 日々のあれこれを、ゆるりとお伝えできたら幸いです。美味しいものには目がありません。 なんでもない毎日は Instagram:kaoru_days をご覧ください。