朝食にコーヒー+パンでメタボ対策
12月には呼び名は諸々あります。一番有名なのが師走ですが、歳極月(としはすつき)とも呼ばれ1年の締めくくりの月を表しています。
12月と言えば、日本では歳末と相まって賑やかなクリスマス商戦が繰り広げられていましたが、世界的にCovid-19感染症が蔓延する中、今年の冬は昨年とは異なる様相を呈しています。クリスマスはイエス・キリストの降誕を祝う日でカトリックの方は12月25日、正教会の方は1月7日と定められています。キリスト教誕生よりも遥か以前にヨーロッパでは冬至が過ぎると「光の誕生」を祝う風習があったそうです。今年のコロナ禍も光の誕生とともに終息し、希望に満ちた新しい年が巡ってくることを祈らずにはおられません。
自宅で祝うクリスマスであれ、友人たちと祝うのであれ、食卓には日頃以上にカロリーの高いメニューが並びがちです。食事制限をなさっている方には少し苦しい時期かもしれませんね。一般的にメタボリックシンドロームは内臓肥満、腹部肥満に高血糖、高脂血症、高血圧のうち2つ以上が合併している症状を指し、死の四重奏の有難くない別名を持っています。飽食の現代ではメタボ予備軍も多いのではないでしょうか。
京都府立医大の研究がそうした不安を緩和する一助となるかもしれません。研究は日本多施設共同コホート研究のデータ(10万人以上の健康な住民を登録し、遺伝的背景や生活習慣と疾患のリスクを20年間追跡調査しています)を用いて京都在住の男女3539人(内15.7%がメタボに該当)にアンケート調査を行っています。コーヒーや緑茶の摂取回数とBMI、内臓脂肪面積との関連を年齢や性別、薬物治療の有無などで調整して解析した結果、コーヒーの摂取回数が多いほど、内臓脂肪面積が小さいという関連が認められました。
次に朝食にコーヒー+パンというメニューが習慣化している場合を検討しています。結果は肥満、内臓脂肪蓄積型肥満などの有症率が有意に低かったそうです。また、緑茶とパンの朝食では肥満は有意に低いのですが、内臓脂肪肥満に関しては相関していなかったそうです。朝食は私達の身体をコントロールしている時計遺伝子が末梢時計を動かすために重要ですが、食事内容を検討することも大切です。果物ばかりやサラダだけ、などといったメニューでは細胞が働くには少々無理があります。細胞達が活き活きと働くためにはタンパク質やビタミン・ミネラルは勿論のこと今回の研究結果によれば、パンなどの糖質も大切なのでしょう。けれど、砂糖のたっぷりかかったパンなどは避けた方が上策です。
因みにコーヒーの有用性は他にも多くの研究で伝えられています。1日最低1回でもコーヒーや緑茶などの飲料を召し上がり、それが朝食と一緒であれば、豊かな気分とメタボ対策の一石二鳥となるのは嬉しいことですね。
神楽坂発 お身体へのお便り No.87
安田祥子 Akiko Yasuda
株式会社jast代表取締役会長
統括メディカルアドバイザー、フリーライセンスドクター、「農林水産省 産学共同プロジェクト」メンバー
最愛の娘の突然の死をきっかけに、健康は当たり前のものではなく、自らの手で守り育むものと痛感し、分子生物学や医学などを学ぶ。2013年(株) jastを設立し家庭と医療機関を結ぶ架け橋としてのアドバイザー育成に取り組む。これまで200件以上のクライアント様の健康・医療・日常生活のご相談に応えるとともに、教育部門JAMAで主席講師を務め分子生物学の観点から細胞に働きかける栄養素や最新の遺伝子研究など多岐に渡る講義を行う。数多くの機関誌への執、講演会、セミナーなども行っている。
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