熱帯で生活しているような酷暑も九月に入り涼しい風が室内にも吹き込むようになりました。新型コロナウイルスの蔓延は未だに止まりそうにありませんが、世界中の研究者、医療従事者、そして一般の方が感染阻止、感染予防に日夜努力してくださっている姿には感動を覚えます。東京などヒトの密集した地域では今回の感染症が人々の暮らしを良くも悪くも変えつつあります。経済優先の生き方を再考する時間が生まれたことも事実でしょう。今後経済と健康、そして人同士の関係が手を繋いで健やかな社会が創造されていくことを願わずにはいられません。 　

「かたまりて咲きし桔梗の寂しさよ（久保田万太郎）」。我が家の庭にも秋風とともに桔梗が薄紫の花を咲かせ、風に揺れる嫋やかな姿は目に優しく映ります。おこもり時間が長くなると自己管理が疎かになりがちになりませんか？ 

　生活リズムの狂いは自律神経に影響を与えます。特に夜遅くまでスマホやPCなどを見ていて良質の睡眠が取れない日が続くと、アクセル踏みっぱなしの車に乗っているような状態になります。私達の身体は交感神経と副交感神経が同じ臓器などに重なり合ってやじろべえのようにバランスを取りながら身体の状態を一定に維持しています。交感神経がアクセルならば、副交感神経はブレーキの役割なのですね。 

　この自律神経もまた、地球の自転に同期する体内時計がさながらタイムキーパーのように時間の流れに従って作用を発揮しています。体内時計のズレを修正する太陽の光をきちんと浴びることができなければ、朝から時計が狂ってしまいます。身体中に張り巡らされた毛細血管も自律神経の影響を受けていますので、交感神経が優位であれば血管は収縮して血液の流れ減らし、副交感神経が優位であれば血管は拡張して血液が細胞の隅々まで酸素や栄養素を届けます。そのためアクセルを踏み続ければ、栄養素や酸素の細胞への配送が滞り、結果として細胞の合成や修復に不具合が起こりかねません。 

　ホルモン系も同じように体内時計の指令を受けて昼間は積極的に行動できるようなホルモンが、夜は細胞の修復や再生のためのホルモンが分泌されます。とくに睡眠に関わるセロトニンは朝の光と共に分泌されます。セロトニンは夜、睡眠を促すメラトニンの原料になるだけでなく、幸福ホルモンと呼ばれるように気分を明るくし、ストレスに対抗する作用も発揮してくれます。穴ぐら生活だけではそうしたリズムは生まれませんので、朝の光を身体いっぱいに浴びましょう。 

　ウィズコロナの今は、おこもり生活を楽しむ方法を自分に合った形で見つけて、新型コロナウイルスの蔓延が終息する日を楽しみに、今日も一日健やかに暮らしましょう。