新型コロナウイルス感染をビタミンDで防御
東京の冬空はどこまでも碧く澄み渡り、下界の混乱とは無縁の美しさで広がっています。
新型コロナウイルスの感染拡大は留まることもなく、日々増え続ける感染者数に私達は溜息をつくばかりです。クレタ島のラビリンスで生贄を食べ続けたミノタウロスをテセウスが退治したように、コロナウイルスを退治できる英雄が生まれるのでしょうか? コロナワクチンがテセウスなのか、私たち自身が持つ免疫細胞達がその役割を担うのか、いずれにしても一日も早い終息と世界中のヒト達の健康を願わずにはいられません。
英雄の誕生を待っている間にも姿を変えつつ私達へのウイルス伝播を続けるコロナウイルスに対して私達ができることがあるのでしょうか? 多くの研究論文などから、今できることをしばらくの間、この欄を通してご紹介してまいりましょう。
自分が感染しないことは勿論ですが、ヒトに感染させないことも重要です。英国の研究では大多数のウイルス伝播は非常に初期の段階で起こり、特に発症から5日間に最も多くヒトに感染させ、重症でない場合、ウイルスが感染力を持つ期間は概ね10日間程度とのことです。私達が何らかの異常を上気道などに感じた場合、発熱が無くても3日間程度、発熱があれば10日ほどはヒトとの接触を避け、家族の方にも外出などを自粛していただくことで、感染の伝播を一定程度抑えることができるのではないでしょうか?
一部のコロナ感染者様のお話では発熱しても翌日には平熱に戻り、その2~3日後にまた発熱するといったこともあるそうで、平熱に戻ってすぐの外出や仕事復帰なども避けたいものです。
私達自身の身体を守る方策もお伝えしましょう。ハワイでは日差しが強くビタミンDの体内合成は充分かもしれませんが、“血中ビタミンD値が新型コロナウイルス罹患率や重症化リスクの低下に関与する”とされるいくつかの論文があります。もともと、新型コロナウイルス感染症の予防や死亡率低下にビタミンDが有効ではないか、との仮説が提唱されていましたが、その可能性を支持する論文や臨床報告が英国や米国の大学、研究機関から出されています。特に興味深いのは米国ノースウエスタン大学が、ビタミンD低値と過剰な免疫反応(サイトカインストーム)との関連が認められたと報告している点です。
また、研究者の一人、米国ルイジアナ州立大学のフランク・ラウ氏は「ビタミンDが新型コロナウイルスに対する免疫反応を強化し、抗体の生成を助け、ウイルスが全身に広がるのを予防する可能性がある」と述べています。
ハワイにお住まいの皆さまでも充分な紫外線を浴びる機会が無く室内での作業が多い方やご高齢の方はビタミンDをサプリメントで補充するのも良いかもしれませんね。テセウスが現れるまで、私自身毎日ビタミンDタブレットを利用し、自助努力の一環としています。
神楽坂発 お身体へのお便り No.89
安田祥子 Akiko Yasuda
株式会社jast代表取締役会長
統括メディカルアドバイザー、フリーライセンスドクター、「農林水産省 産学共同プロジェクト」メンバー
最愛の娘の突然の死をきっかけに、健康は当たり前のものではなく、自らの手で守り育むものと痛感し、分子生物学や医学などを学ぶ。2013年(株) jastを設立し家庭と医療機関を結ぶ架け橋としてのアドバイザー育成に取り組む。これまで200件以上のクライアント様の健康・医療・日常生活のご相談に応えるとともに、教育部門JAMAで主席講師を務め分子生物学の観点から細胞に働きかける栄養素や最新の遺伝子研究など多岐に渡る講義を行う。数多くの機関誌への執、講演会、セミナーなども行っている。
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