ソーラーカー世界一を目指す 日本の大学生
東京都の南西部の八王子市にキャンパスを持つ工学院大学の学生達が製作するソーラーカーが、世界一の栄冠獲得を目指し、奮戦している。同大学の教学目標は、『学以致用』(実際に役立てるために学ぶ)の理念に示されているように、実学精神が強く反映されている。学生は入学するや、学術研究に励むばかりでなく、実技も同時に重要視され、理論と実技が一体となって、両方の習得を目指すのがこの大学の特色である。
同大学が目下目指しているのは、太陽光の力を全面的に活用し、車を動かすソーラーカーを製作し、国内外のレースに挑戦し、世界一の栄光を勝ち取ることにある。全学部の学生、1年生から大学院2年生までの約300人全員が、ソーラーカーを製作する各部署に配置されることになっている。例えば機械、電気、戦略等の9斑に配置されることや、車の動力性能の向上やロスの少ないエネルギー伝導システの開発、ライバルチームの実力分析や、効率的なレースプランの策定など、それぞれの役割が分担されるようになっている。
さらに具体的には、例えば、車の走行時の空気抵抗の軽減を徹底的に改善するための設計や、パーツ類、モーターやソーラーパネル、駆動系などすべて学生が一から設計し、学内の施設や協力企業の工場を借りて製作することになっている。そのため、同校が毎回レースに参加した車は全てが斬新的且つ独創的であるため、大変注目され賞賛されるようになった。
前回のレースでは、同校製作の車は惜しくも優勝を獲得できなかったが、準優勝という好成績で悔し涙を流したが、それでも多くの関係者からの称賛の声は絶えなかった。今年は10月に、オーストラリアで開催される予定の世界最大級のソーラーカー走行のレースには、必ず優勝の栄冠を東京に持ち帰ると学生全員が誓かっている。
大学当局においても学生たちの熱意を応援するため、全4学部から19名の教師陣が自発的に集まり、アドバイス集団を結成し、学生達に各種の新しい提案やアドバイスの労を惜しまなかった。その結果、新車体は、今まで見たことのない斬新なデザインの高性能車が出来上がり、今度こそは、高得点で優勝できるのではないかと、期待されている。
レースは朝8時から夕方5時まで、3人のドライバーが交代で運転し、走り続け、最高時速は約130キロを予定し、5日間で約3000キロを走破すると言う。夜はメカニックの学生を含む35人ほどがチームを組み、野外キャンプをすると言う。
この部活に積極的に参加している学生は、大部分が将来は日本の自動車製造会社に就職を希望していると言う。その中の一人、4年生のある学生は「自分は来春卒業後、車体の主な材料である炭素繊維の成形などを製作する会社に就職する予定になっている。そのため、ここで培った経験とノウハウは極めて貴重であると認識している」と語る。
工学院大学総動員によるソーラーカーの優勝を、大いに期待したい。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.188
早氏 芳琴