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デジタル版・新聞

今どきニッポン・ウォッチング

【今どき ニッポン・ウォッチング】「商品を売らない」デパートの「売り場」

 東京大手デパートの売り場で、新開発された高級商品を偶然見つけ、直ちに買って帰ろうとした。ところが店員さんに丁重に断れてしまったので、ビックリ仰天した。デパートの売り場で展示されている商品を顧客が買うのに、どういうことなのか。困惑してしまった。

 顧客のこの不愉快な表情に気付いた他の店員さんが素早く駆け寄ってきて、満面に笑顔を浮かべながら、客に頭を深く下げ謝る口調で、このデパートの斬新的な商品の販売方式を説明したのである。

 この新しい販売方式とは、つい最近東京の大手デパートが一斉に展開し初めた所謂「リアルとデジタルを融合させた販売方式であり」、その主な目的は「普段あまりデパートに足を運ばなくなってきた日本の若い世代を、何とかデパートに取り込む奇策であった、という評判である。こうすることによって、若い世代がデパートへ直接来店し、自分好みの品を細かく「観察」し、手に取って確かめてから、安心して購買させるためであるという。

 日本の大手デパートが徐々にこの様な販売方式を採用し始めたのは、つい最近始まったばかりであるが、急速に各大手デパートで流行り始めたのである。その利点としては、デパート側は「売り場には確かに品物は展示しているが、在庫には品物は置かず、消費者にネットで買ってもらう」即ち「リアルとデジタルを融合させた新販売方式で、若い世代のスマホ使用ブームに迎合する形での販売方式である」という。売り場には確かにQRコードが備えていて、若者自身がスマホで読み取り、専用のサイトから買うことがある。客の買った品物は持ち帰る手間を省ける利点があるため大いに喜ばれ、デパート側としてもその上々の手応えに満足しているというのである。

 高島屋は4月から新宿店にショールーム型店舗「ミーツストア」を開いた。約80平方メートルの売り場に新スキンケアや子供服、食料品など約60ブランドが並ぶ、QRコードはあるが、レジはない。店頭には専属の販売員が配置され、商品やサイトの利用方法を説明する。同店の責任者が言うには、「売り場はトライアル段階だが、魅力あるブランドを開拓して、将来は東南アジア諸国の消費者向けの通販サイトでの販売につなげたい」という。

 他のデパート、例えば大丸東京店も去年10月から、『明日見世』という売り場を設置し、客の購入は完全にオンライン方式で、商品を確かめてから、QRコードを通して購入することになっている。一方のそごう・西武では「チューズベース・シブヤ」を開設し、店頭でそのまま購入できる仕組みも残して、ネットでも購入できる方式を採用していたが、現在半数の客は、既にネットを使った購入方式を使っているというのである。

 デパート事業に詳しい関係者が言うには、最近ネットを使ってデパートで買い物をする日本の若者は、「約8割が20から30代の女性が特に目立つようである。LINEなどのSNSを通してギフトを贈ることもできるようになってきた。SNSでつながっていれば、相手の住所を知らなくても、品物を贈ることができるよう

になったのである」と。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.239

早氏 芳琴

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