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【今どき ニッポン・ウォッチング】脱マスクへ、口紅など化粧品の売れ行き好調!
コロナ禍のために、数年もマスクを着けざるを得なかった日本の女性の苦痛と不満は、大変だったにちがいない。関係当局が正式にマスクの着脱が個人の判断でと発表すると、今までの反動もあってか、多くの女性たちがデパートの化粧品売り場に戻ってきた。
この機会を待ちに待っていた口紅などの化粧品販売会社の社員たち、そしてたくさんの口紅や鮮やかな色のチークなどのメイクアップ商品が所狭しと展示されていたのである。他にも、マスク生活で荒れていた肌をきれいにしたいとのニーズにスキンケア商品も数多く展示販売されていた。
約9千種類の化粧品を販売する生活雑貨「渋谷ロフト」の店頭には、マスクに付きやすいと敬遠されてきたリップグロスやつやの出る口紅が並ぶ。3月ごろからマスクを外しているという女性は「マスクに色移りしにくい口紅ばかり使っていたが、今日は新しくグロスを買った」と言う。
ロフトによると、5月のメイクアップ商品の売上高は前年同月比の1.6倍で、外出機会が増えたことで日焼け止などの紫外線対策も同1.8倍だった。ファンデーションやスキンケア商品については、コロナ前の19年同月比を大幅に超えたという。
コーセーが発売した人気ブランドの口紅「ネンマクフェイクルージュ」は、マスクに色移りしにくいうえ、つやが出るのが特徴。発売前から当初想定の1.5倍の受注があり、急きょ出荷量を増やした。それでも、一部店舗で発売初日に売り切れたという。広報は「マスクを外す機会が増え、カラーメイクを取り入れたい人が多いのでは」と話す。
どの百貨店でも化粧品の売り上げは伸びている。日本百貨店協会によると、4月の化粧品の売上高は前年同月比14.6%増。3月にマスクの着用ルールが緩和されたことに加え、インバウンドの回復が後押しした。
一方、スキンケアへの関心も高い。調査会社の富士経済によると、今年のスキンケア化粧品の国内市場は前年比2%増の1兆3337億円の見通し。マスクに隠れていたほうれい線などのケア需要が高まると見る。
カネボウ化粧品が3月に主力ブランド「KANEBO」から発売した拭き取り用化粧水は、想定の2倍超の売り上げが続く。これは「長いマスク生活で肌トラブルを訴える声が多く、ニーズに応えられたのではと話す。
資生堂の「エリクシール」も3~5月、化粧水や乳液の売り上げが前年比で約2割増えた。
コーセーは、「コスメデコルテ」の美容液の広告モデルに米大リーグで活躍する大谷翔平を採用したことで、売り上げが通常の2~3倍になった。百貨店での男性の新規顧客数は、短期間で10倍も増えたと言う。
マスクの着脱自由は、日本の社会全体にようやく明るい兆しをもたらした。人々が急に美しく変化したように、筆者も感じる。こんな日々が続くことを願っている。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.267
早氏 芳琴