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【今どき ニッポン・ウォッチング】4月の訪日外国人 コロナ禍前の66.6%までに回復
日本政府観光局(JNTO)が5月17日に発表した4月の訪日外国人客(インバウンド)は、194万9100人だった。観光シーズンで訪日需要が高まり、昨年10月に新型コロナの水際対策が大幅に緩和されてから最も多くなった。コロナ禍前の2019年4月と比べると、66.6%までに回復した。
国や地域別でみると、韓国が46万7千人で最多だった。次いで台湾が29万1600人、米国は18万3900人。東南アジアの回復が際立っている。3月末にはすべての入国者に求めていた陰性証明やワクチン接種証明書の確認がなくなり、今後さらに増える見通しである。
現状では来訪者は東京、大阪、京都などの大都市に集中している。そのため、政府は地方に訪日客を呼び込もうと、地方に宿泊する平均日数を19年の1.4泊から2泊に増やすことを目標にかかげた。観光庁によると「地方の観光の発信をし、インバウンドを地方に誘客することも重要だ」とのことだ。
一方、最も存在感があった中国からの訪日客は、10万8300人とコロナ禍前の1割ほどにとどまっている。19年には959万人が日本を訪れ、訪日客全体の30.0%を占めた。旅行消費額は1兆7704億円と全体の36.8%に達し、1人当たりの購買額は国・地域別で唯一、10万円を超えた。
中国からの訪日客はまだ以前の状態までは回復していない。原因は日本行きの団体ツアーの販売が、中国政府によって未だ禁止されているからである。2019年当時に団体ツアーで来日した訪日客は、全体の訪日客の27.1%を占めていた。中国政府はゼロコロナ政策を緩和した後、今年の3月までに60カ国への団体旅行を解禁しているのにも関わらず、日本は含まれていない。加えて、観光目的で1回のみの訪日に使うビザが、中国国内では今も申請できないことも主な原因となっている。目下日本を訪れているのはビジネス客や富裕層向けの長期間、複数回つかえる「数次ビザ」の取得者など、一部の人に限られているのである。
このような状態なので、日中間を飛ぶ航空会社も、ついに便数を減らさざるを得なくなってしまった。ANA総合研究所によると、今年3月26日~10月28日に中国の北京、上海から日本へ飛ぶ路線で見ると、日中主要6社の座席数の合計は、2019年同期の約3分の1にとどまっている状態になっている。
今後の見通しについて、中国最大級の旅行予約サイト「CTRIP(シートリップ)」を運営する会社の関係者が言うには「日中間の増便や富裕層らの訪日ビザ申請が少しずつ増えているのは事実だが、本格的に増えてくるのは7、8月の夏休みからではないか」という。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.264
早氏 芳琴