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今どきニッポン・ウォッチング

日韓映画、「コロナ禍」が飛躍の壁に?

日韓映画、「コロナ禍」が飛躍の壁に?

 昨年、韓国映画『パラサイト/半地下の家族』がアジアの映画として、史上初めてアカデミー賞4部門を受賞し、韓国映画の存在が一躍世界にその名を轟かせた。

 この映画は韓国社会に実在する深刻な貧困問題を描き、見るものに強い衝撃を与えた。同映画は、全世界の人々に思いもよらぬ韓国の国内に潜む闇の一面を赤裸々に表現し、人々の韓国社会に対する認識を新たにしたことで、高く評価された。 

 一方、日本の映画製作は、ある一定の評価を得ていたが、賞を取るまでには及ばず、涙を飲む結果となった。だが、国内に目を向ければ、昨年の日本での映画国内興行収入が100億円を超すヒット作が4本もあったのある。動画配信サービスを利用すれば、簡単に映画が見られる今日のご時世に、何故これ程までに多くの観客を動員できたのか、実に驚くべき現象であったと言えよう。 

 韓国が映画製作の面で輝かしい成果を収めることが出来、もう一方の我が国では映画の観客動員では、素晴らしき成果を納めることが出来たことは、アジアの映画史において初めての快挙であった。世界が、必ずしも順調な経済発展の中にあったとは言えない時期に、アジアにおける日韓両国の映画産業におけるこの得難い成果は、人々に強い自信と新たな希望を与えることになった、と言えよう。このようなポジティブ意識は、今後のアジアの映画界ばかりでなく、世界中のあらゆる分野で、更なる飛躍の源泉となると期待されていた。 

 

 ところがまさかの「コロナ禍」の襲来で、映画界の明るい希望が一瞬にして水の泡となった。感染拡大はすべての人間社会に、「今までの当たり前ができない」困難な体験をもたらした。それに耐え抜く精神力が今、試されていると考えるべきであろう。 

 このような時にこそ“幸運にも得た”成果を再検討し、その教訓から成功のヒントを学び取ることが賢明である。 

 近年、日本の地方都市では所謂シネコン(複合型映画館)ブームが訪れ、それが都市部にも波及し、多数の開業をみるようになった。都市部の観客にもこの様な映画館が歓迎されたのは、壁一面の大スクリーンと迫力ある音声を楽しみたいという強い欲望を叶えたいとする心理ではないだろうか? 普段はテレビやスマホでしか味わえない映像と音声では物足りず、より開放的な環境での映像と音声を求めようとする欲求が、人々を映画館へと駆り出した、と言うのがある映画製作会社の幹部の忌憚ない見解であった。 

 このように人々の間に広く、強く解放希求の心理があるのなら、世界中で「三密」の完全解除を目標に、「コロナ禍」の早期終息に向けての懸命な努力が期待される。アジアの映画製作や映画鑑賞が回復されるばかりでなく、全ての経済活動も元気を取り戻し、自由で活発な世界経済がまた新たな一歩を踏み出すであろう。これを願うばかりである。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.183

早氏 芳琴

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