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【今どき ニッポン・ウォッチング】将来、食卓にある魚や肉は植物からの「代替品」になるのか?
国連の予想によると、世界の総人口は2030年には、約85億人に達し、2050年には約97億人に増加すると、予想されている。世界の人口がこのように急増加した場合、当然、食料が大量に不足するのはいうまでもない。そのため、人類がこのような「食糧危機」を未然に防ぐ「切り札」として、代替たんぱく質の増産問題を今から解決しなければならないのである。
日本ハムは今年3月の初め頃から、大豆などで作った「フィッシュフライ(104グラム、税込み345円)」を発売した。海藻の成分を使うことで白身魚の風味とふわっとした食感を再現した。開発に約1年を要したという。さらに、エビをまねたポップコーンシュリンプを業務用として4月に売り出す。
同社では、植物からとれるたんぱく質を使った商品ブランド「ナチュミート」を2020年から展開。代替肉を使ったナゲット、から揚げ、ハムカツなどを手がけてきた。フィッシュフライは同社初の代替魚の商品である。同社のマーケティング推進部長は「大豆ミートのカテゴリーを広めていきたい」と述べている。大豆ミートを使った商品は他社にもある。伊藤ハムは「まるでお肉!」、大塚食品は「ゼロミート」を手がけている。
代替魚では、不二製油が豆乳クリームをべースにウニの風味と食感を再現した「プラントべースウニ」を業務用に開発。ネクストミーツは大豆が主原料のツナの代替食品「NEXTツナ」、あづまフーズがこんにゃく粉を使った「まるで魚」シリーズとしてサーモン、マグロ、イカの3種類を販売している。
メーカーが代替魚の商品化の動きを加速させている背景には、世界の人口増によって引き起こされる資源の乱獲がある。水産資源は依然「とられすぎ」が進んでいる。国連食糧農業機関によると、過剰に漁獲されている水産資源の割合は1974年の10%から2017年には34%にまで増えた。
牛や豚、鶏などの畜産でも、30年には肉の供給が追いつかなくなるとの見方もある。
牛のげっぷによるメタンなど温室効果ガスによる温暖化の進行や、飼料や水資源の大量利用による環境への影響が懸念されている。牛肉1キロを生産するには11キロの穀物が必要とも言われている。こうした事情からも代替たんぱく質に熱い視線が注がれているのも周知のことである。
代替魚や代替肉は本物と比べて価格面では同じ水準か、寧ろ割高な場合が多い。しかし、低カロリー、低脂質で植物繊維が豊富、などの長所がある。
目下、世界各国が全力を挙げて代替肉や代替魚の研究開発に全力を注ぐのは当然であろう。曰く、「防患未然(災害を未然に防ぎ)」、「有備無患(備えあれば憂いなし)」ということである。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.261
早氏 芳琴