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今どきニッポン・ウォッチング

コロナ禍で言語の壁に悩む在日外国人労働者からの教訓

コロナ禍で言語の壁に悩む 在日外国人労働者からの教訓

 日本の少子高齢化現象は、世界で最も厳しい状態にある。したがって、働く人々の不足を補うために、日本は発展途上国から多くの若手労働者を受け入れている。日本経済が、これまでのような持続的発展を維持できたのは、これら外国人労働者の協力があったからこそ、達成できたと言っても過言ではない。我が国としては、彼らの日本在留期間における生活の安定と健康には、然るべき留意と関心を持つべきであることは、当然であると言えよう。

 

 ところで、昨今のコロナ禍が全世界にもたらした災害と苦難は甚大であったし、特に母国を離れ、異国で肉体労働に従事するこれら若者たちの精神的苦痛は、言い尽くせぬものがあるだろう。万が一、彼らの健康上あるいは精神面に何か問題が生じた場合、それを異国語で助けを求めるときの不便さは、経験者のみぞ知る最大の苦痛であるに違いない。

 今回、日本で新型コロナウイルスが蔓延した時、日本語力に乏しい外国人労働者が直面した様々な不便と苦痛は、我が国の受け入れ国としても貴重な初めての経験である。特に重視すべき点や改善すべき事柄を、記録としてしっかり残し、貴重な参考資料として、将来に生かしてゆく必要があるだろう。

 統計によると、目下日本に滞在している外国人は、1990年から急速に増え始め、昨年6月末までには約289万人に達している。国籍・地域別では、中国人が約79万人で最も多く、次が韓国人44万人、ベトナム人42万人、フィリピン人28万人、ブラジル人21万人、ネパール人が10万人、インドネシア人が7万人となっている。

 厚生労働省は作年6月に、新型コロナ治療にあたる医療機関が無料で利用できる24時間対応の電話通訳サービスを開始した。当初は英・中・韓・スペインとポルトガルの5言語のみであったが、12月から仏・ベトナムの2カ国語が追加されたが、在留外国人のかなりを占めるネパールやインドネシア語は追加されなかった。今年度の補正予算案が決まってから、全国の保健所でも、電話通訳サービスを利用できるようになったのである。

 ところで、多くの外国人労働者は日本人と同等のこの無料医療サービスを受けられることを知らされていなかったことは、極めて残念であった。未だ在留外国人には十分な医療サービスが行き渡ってはいないのである。

 

 日本は今後も厳しい少子高齢化現象が続くと予想されており、そこで多くの国々からの若手労働者を引き続き受け入れざるを得ないであろう。世界の国々は、それぞれ言語や習慣も異なっており、日本は今後もそれらの国々や人々と協力し合い、仲良く助け合い、共存共栄の道に向かって邁進せざるを得ないのである。

 昨今のコロナ禍は、いわばこの世界という村で共生する我々人類に、より一層の協力と言語の相互理解があってこそ、困難な疫病の蔓延に打ち勝つことが出来ることを示しているのではないだろうか。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.203

早氏 芳琴

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