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今どきニッポン・ウォッチング

全国のJR無人駅、約半数に達する!

全国のJR無人駅、約半数に達する!

 日本の鉄道網はまるで人間の体内にある血管のごとく、全国津々浦々に張り巡らされている、とよくいわれる。日本を訪れたことのある外国からの訪日客は、帰国前に訪日の感想を聞かれると、常に異口同音に日本の交通網の便利さや鉄道運行の時間の正確さ、それに各種の乗客に対するサービスの周到さ等に対し、称賛しいるようである。だが、無人駅がこれ程多くあったことは、誰もが想像だにしなかったことではないだろうか。

 

 都道府県別に見てみると、やはり過疎地である北海道が数的に最も多く、約71%を占める。JR路線のない沖縄を除いて、他の全ての駅には適切に駅員が配置されている。では、首都東京都はどうかというと9%もあった。そして大阪府は16%で、京都府は31%あるという。これだけでも数値は想像以上であると思う。それでは、日本全国で確実な駅員不在の駅の数字はどのくらいにのぼるかというと、総数は4564駅に達する。全国のJR駅数約9249駅(2020年3月現在)の半分近くになるこの数値を知って、驚かない人はいないであろう。

 ご存知のように、元々日本の国有鉄道であった巨大な鉄道組織は様々な問題を抱え、思い切って民営化を図るため社名を「JR」と略称し、合理化を目指して再運営した。今から30年以上前、1987年のことである。無人駅の誕生も、このような合理化という止むを得ない状況下での苦肉の策であると言えよう。

 日本は今や世界で最も少子高齢化問題の試練に立ち向かっている国である。そのため、この鉄道の無人駅化はそう簡単には解決できそうになく、頭を悩ましているのが実情である。新生「JR」のこの実態から、日本の少子高齢化がいかに深刻であるかが、想像できよう。

 悪意ある人がこの事実を知るや、無賃乗車やキセル乗車を企む者が出てくることは想像できるが、しかし、このような事件はあまり起きていなかったのも、却って信じられないのである。何故だろうか? これこそが日本社会の「特徴」といえるのかも知れない。日本人の心の中にある法秩序を守る精神の強さは、時には人々の感動の涙をさそうこともある。

 

 日本における無人駅に対する不満と解決への要求がまったくないわけではない。現に法に訴え早急に改善を求める訴訟が起こされている。その一つが九州大分市のJRが地裁に提訴した案件である。駅の無人化は、憲法で認められている人の移動の自由に反する事項であり、特に身体障碍者への不公平が著しく、早急に解決する必要があるという訴えである。

 というのは、駅には常時駅員があって然るべきで、身障者の乗下車への援助が是非とも必要であり、鉄道機関がこの様なサービスを怠ってはならないという見解である。

 これに対し、「JR」は身障者がこの様な援助を必要とする場合、事前に連絡があれば、必ず駅員を派遣し、対応すると決めていると答えている。裁判の結果は、まだ司直の判決を待つしかないのである。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.201

早氏 芳琴

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