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【今どき ニッポン・ウォッチング】熊本県に「バブル」再到来か? TSMC「移住」始まる
ロシアのウクライナ侵攻、トルコとシリアの大地震等々、全世界が甚大な困難に陥っているこの時期、日本の熊本県に、過去に我が国に大発展をもたらした「バブル」の再度到来を思わせる光景が、突然表れてきたのである。この現象を、誰しもが想像できたのでしょうか。それが今現実に我国の熊本県で展開されているのである。それは台湾のTSMCという会社が、台湾の南部から突然わが国への「移住」を決定したからである。
TSMCとはいったい何者なのか。その正体は、今時の電子業界では名声の極めて高い台湾積体電路製造会社であり「ファウンドリー」とも呼ばれ、世界的な半導体メーカーである。
この半導体メーカーが名高い理由は、いかなる世界的に有名な電子製品であろうと、ここで生産される半導体を組み込んでいないことになると、もう時代遅れの劣等品となってしまうからなのである。実例を一つ挙げると、トヨタの新車にこの最新の半導体が組み込まれていないと、トヨタは直ちに生産停止に追い込まれるのである。
戦争当事国になると、空飛ぶ飛行機であろうとヘリコプター、戦車や銃器であろうと、この半導体は引っ張りだこの必需品である。極論ではあるが、現代の戦争の勝敗は正にこの半導体の装填有無にかかっていると言っても過言ではないからである。世界各国の電子先進メーカーが、競って台湾のこの会社を自国に迎え入れようとしている原因がここにあった。それが我が国に「移住」することになったのは、ある意味「大任」を我が国に期待されてのことであろう。
TSMCはすでに熊本に一つの生産工場を建設していたのにも関わらず、今建設中なのは第2番目の工場で、この新工場では更に最先端の新半導体の生産に着手するといわれている。同社の最高エンジニアとその家族が近いうちに大挙来日も決まっており、我が国の関連企業もその周辺に関連企業の建設や事務所の設置の追われている。
ある統計によると、目下、この地区には約2000人以上の労働者が集められ、昼夜を問わず各種建造物の建設に取り掛かっている。当地の地価は既に3倍も上昇しているが、それでも足りず、付近の山林も開拓の対象の予定というのである。
更に必要なのは、同工場で働く世界最上級のエンジニアの家族が安心して居住でき、子供たちが楽しく就学できるようにするのも重要課題であろう。各学級の設置と教員の選考や通訳の提供なども必要になる。
熊本は今やバブルのような特需の真っただ中にある。この思いがけのない幸運に恵まれた我が国としては全力を尽くし、世界一の半導体生産大国として人類に更なる平和と安全に尽力すべきであろう。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.257
早氏 芳琴