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【Hurricane INIKI’s Attack in 1992】30年前の手記より (4)
9月12日 ハリケーン・イニキ翌日 Part1
ある日突然、きのうまで誇らしくあった家々や木々が哀れにも、悲惨にも姿を変えた時、その哀れさが、そのみじめさが、まるで自分自身のように思えて、まっすぐに見ることが難しい。目に映るものをそのまま受け入れるのにやはり時が必要なのだ。



この世界が明日から、いや今日からの世界なんだと頷くことが難しいのである。
それでも壊れた家々、葉を無理やりもぎとられた木々を見続けていると、自分のいる世界がそうなんだ、自分もその一部なんだと頷き始め、なんとかしなきゃ、という気持ちが生まれてくるのである。
そして、被害に遭った人々の笑顔が、自分は彼等よりも断然良かったにもかかわらず、励まされているような気がして、受け入れらなかった自分がひ弱であると感じざるを得なくなった。と同時に私には、このハリケーンで同じ思いをしている、いやもっと心細い夜を過ごした日本からのお客様がいる。彼等に会って無事を確かめる仕事がある。怖気づいてるところではないのだ。そんな気持ちで、とりあえず状況を見に街にでる。


(つづく)
Yukio Waka
大阪で生まれ、20代後半まで大阪で暮らす。アメリカに渡り、ニューヨーク、サンフランシスコを経て、ハワイへ。ホノルルで旅行会社に勤務中、カウアイ島への出向を命じられ赴任する。イニキ災害の後、ホノルルに戻り、ハワイ島に出向。ハワイ島の魅力に取りつかれ、現在に至る。