- ホームページ
- ヒカルのハワイ島日記
- 【ヒカルのハワイ島日記】ハワイからアヒが消える日 (アヒ:ハワイ語でマグロ)
【ヒカルのハワイ島日記】ハワイからアヒが消える日 (アヒ:ハワイ語でマグロ)
「アヒがない」とSUSHI屋でお客さんに伝えると、「なぜ?」という質問が返ってくる。理由はただ一つ。魚屋さんにアヒがないから。つまり市場にアヒがないという状態。
なぜ市場にアヒがないのかというと、こちらも理由は一つだけ。アヒが獲れないから。なぜ獲れないかというと、天候不順で漁師が海に出れなかったから。
2月は記録的な雨続きだったため、ハワイ島東部ではアヒが手に入らなかった。オアフ島からの空輸モノはほんの少し入って来ていたので、オアフでは漁ができたのだと思う。他の島のことは分からない。
SUSHI屋を始めて10年。アヒが手に入らないことは時々あるけれど、こんなに長く続いたのは初めてだった。
ハワイのマグロは主にYellow Fin(キハダマグロ)とBig Eye(メバチマグロ)の2種類。ハワイ島で流通しているのは、Yellow Finが多い。オアフ島はBig Eyeの方が多いかもしれない。
そう、ハワイ島ではハワイ島で獲れたアヒが流通している。他の島で獲れたものは「輸入モノ」ということになる。
この地元産のアヒが、少しずつ減っている気がする。アヒだけじゃなくて、地元産の魚自体が、ハワイ島の市場から姿を消しつつある。
大きな理由のひとつは、2018年のキラウエアの噴火。約800軒の家が溶岩に飲まれたときに、ハワイ島東部最大の漁港(Pohoiki)も埋まってしまったのだった。
この漁港を整備し直すには莫大な費用がかかる。漁師は遠方にある別の港を使わざるを得ない。これがきっかけで、廃業してしまった漁師は多い。
ハワイで漁をするのは燃料費その他のコストがかかりすぎるので、漁師は減少する一方。ポホイキの消滅でこれが決定的になってしまった。漁師が減ったので、市場に流通する魚も当然激減。地元産の魚はまったく見かけない。マヒマヒ、ウルア、アク、モンチョン、オナガ、メンパチ、ハプウプウ……。みんな市場から姿を消した。
このままいくと、アヒもそのうち手に入らなくなるんだろうな。オアフ島ではすでにモーレツな高値になっていると聞く。ハワイ島でも卸値はガンガン上がっている。パンデミック前に$10.98だったアヒが、昨日は$14.98!(小売値はもっと高いと思います)というわけで、ハワイ産の魚が食べられなくなる日は、そんなに遠くないと思う。みなさま今のうちにお楽しみください。「ハワイ産」と称した冷凍輸入モノは要注意意!
ちなみに、ハワイ島ではマグロの養殖プロジェクトが進行中。なんと近畿大学が技術提携しているよ!
No.262
相原光(アイハラヒカル)
フリーランスライター&翻訳
群馬県出身、早稲田大学卒業。2008年結婚してハワイに移住。夫は寿司シェフ。2012年4月双子猫パンとマーチを連れてハワイ島に引越。8月に玄米寿司とムスビの持ち帰り店「DRAGON KITCHEN」を夫婦でヒロにオープン。現在ライター兼寿司屋のお手伝いとして活動中。姉は漫画家の花福こざる。
like us on facebook “Dragon Kitchen Hilo”