必殺チビハグ
子猫のチビがやってきてから、あっという間に3か月も経ってしまった。我家の生活にもすっかり慣れたようで、というよりストリート時代って忘れちゃったかも? 日々、最高にハイパーに過ごしている。人生始まったばっかりって、何もかもが楽しいんですね。
楽しそうなのはいいんだけど、すっかりおてんば娘になってしまい、困惑しているのが先住猫たち。パンとマーチは18歳の高齢のため、チビのペースで遊ぶのは不可能なんだよね。遊ぶ
というか、相手をするのもかなり苦しいのではなかろうか?
チビは遊びたくてしょうがないので、パンとマーチにすぐ近づいていく。鼻をくっつけようとしたり、尻尾にじゃれたりしては怒られている。しかしまったくめげない。足の間をくぐりぬけたり、背中を飛び越えたりというアクロバティックな業も繰り出すようになった。
極めつきは、最近あみ出した「必殺チビハグ」。その名の通り、チビがハグをするわけだが、見てるとかなりおもしろい。まずパンかマーチに狙いを定め、「あ、おばちゃん!」という感じで目を輝かせ、ガバッと両手を上げてから、スローモーションのようにゆっくりと抱きついていくという技である。抱きつくときに「ハーグ!」と叫んでいるんじゃないかという気がする。
この「チビハグ」、最初は後ろから遠慮がちにやっていたのだけど、身体が大きくなるにつれて自信がついたのか、最近は前からガンガンやるようになってしまった。すれ違いざまに、「あ、おばちゃん、ハーグ!」という感じで、「おばちゃん大好き!」感があふれている。
しかし、やられる側はたまったもんじゃないようで、パンもマーチも当初は「あー、もう、うっとうしい、やめてよ!」という感じでかなり嫌がっていた。だがしかし、だんだん慣れたのか諦めたのか、何も言わないことが増えつつある。少なくとも、チビの存在自体にはすっかり慣れてる様子。
そんな我家のお隣さんに、ある日、子犬が2匹やってきた。2匹の子犬は庭を駆け巡り、じゃれあって、かなり楽しそうに遊んでいる。そっかあ、子供って、ああやってどったんばったんと全身を使って遊びたいものなのね。チビもああいう風に遊びたいんだね。それには、パンとマーチはちょっと高齢すぎだもんなあ。
「俺らが遊んでやらなアカンのんちゃう?」
とのことで、夫はチビ用のおもちゃを作成した。棒に3メートルくらいのヒモをつけて、ヒモの先にネズミのおもちゃをくくりつけ、釣り竿みたいに使えるようにしたものである。ネズミは、かつてパンとマーチが遊んでいたもの。よく取ってあったなあ。今じゃ見向きもしないけど、かつてはよく遊んでたんだよね、しみじみ。
チビはこのおもちゃがたいそう気に入り、死ぬほど走り回っている。こういう時期って、どれくらい続くのかな?
No.214
相原光(アイハラヒカル)
フリーランスライター&翻訳
群馬県出身、早稲田大学卒業。2008年結婚してハワイに移住。夫は寿司シェフ。2012年4月双子猫パンとマーチを連れてハワイ島に引越。8月に玄米寿司とムスビの持ち帰り店「DRAGON KITCHEN」を夫婦でヒロにオープン。現在ライター兼寿司屋のお手伝いとして活動中。姉は漫画家の花福こざる。
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