ある日家に帰ったら、羊が1匹、木につながれていた。
隣人が入手したのだろう。私に気がつくと、羊はびょんびょん飛び跳ねた。大パニックになっている様子。気の毒だがどうしようもないので、急いで通過した。
いままでヤギは何匹も登場したけれど、羊は初めて。最初のうち、羊はかなり怖がっていて、通るたびにパニックになっていた。慣れるまで2週間くらいかかったと思う。
慣れてしまうと羊はとてもおとなしいということが分かった。鳴き声は一度も聞いたことがないし、岩に飛び乗ったりもしない。いつも静かにたたずんでいる。
ヤギはよく叫んでいたし、岩や廃車に飛び乗ったりして遊んでいた。
また、ヤギは一日中ノンストップで草を食んでいたけれど、羊はそんなに食べない。羊の方が身体が大きいのに。
先週の日曜日、ふと顔をあげると、我が家の前に羊が佇んでいた。どうやら放し飼いになったらしい。すっかり人間に慣れてしまったようで、逃げることもなく、ティーリーフをバリバリ食べてから帰っていった。
ついでにカルフォルニアグラスも食べてほしいのだけど、残念ながらあまり好みではないみたい。
羊は大きい! 種類にもよるんだろうけど、歴代のヤギに比べるとふた回りくらい大きい感じ。大きいのでけっこう迫力がある。顔と脚は黒く、太い角はクルリと丸まっている。
羊といえば、「ふわふわの白い羊毛」というイメージだったけれど、現実はずいぶん違う。中途半端にのびた羊毛は、泥だらけで絡まっている。あの羊毛が、フランドル風の素敵なタータンチェックの織物になるのだろうか? 洗ってもそんなにキレイにならないんじゃないかなあ。
ところで、この羊はいったいどこから来たのだろうか?
ハワイには野生化したヤギはけっこういる。(絶滅危惧種の新芽などを食べてしまうので問題になっています)でも野生の羊というのは見たことがない。しかしあの汚れっぷりからすると、農家の羊とも思えない。やっぱり山で捕まえてきたのかなあ。
昨日、夫は羊をなでたとのこと。近くを通ったら羊の方から寄って来たそうな。もうペット状態だね。
ここまできたら名前くらいつけるべきだろうか。 そういえば、隣の子供たちは名前を呼んでいた気がする。はっきり聞き取れなかったけれど、Maryとかなんとか、そんなサウンドだった。
羊のメリー!
メリーさん、うちのカリフォルニアグラスも食べてね!
No.261
相原光(アイハラヒカル)
フリーランスライター&翻訳
群馬県出身、早稲田大学卒業。2008年結婚してハワイに移住。夫は寿司シェフ。2012年4月双子猫パンとマーチを連れてハワイ島に引越。8月に玄米寿司とムスビの持ち帰り店「DRAGON KITCHEN」を夫婦でヒロにオープン。現在ライター兼寿司屋のお手伝いとして活動中。姉は漫画家の花福こざる。
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