エスカルゴから学ぶ時間
先日、小学一年生の生徒達を連れてフレンチレストランへ行ってきました。それはレッスンで学んだ知識を自分たちの目で確かめ、疑問に答えるため。英才キッズアカデミーの3Qレッスンでは世界知識を身につけるための時間を毎回設けています。
これは文化の違いや歴史の深さ、経済や世界情勢の面白さを通して、これからの自分をよく考えてもらう大切なトレーニング。子ども達にとっても大好きな時間です。まだ幼すぎるのでは?と思われるかもしれませんが、生徒それぞれの物の捉え方をよく知っておくことで、就学前や低学年の子どもにも興味を持ってもらえる話し方ができ、“世の中っておもしろい”と思わせることができるのです。
今回レストランまで出かけた目的は、“エスカルゴ”の味と値段を知ることと、そして社交マナーを身につけることです。事前のレッスンでは実に様々な内容をカバーし、子ども達の好奇心も格別で、実際の試食体験はとても楽しい時間となりました。どうして野生のカタツムリは食べられないのか、どうしてフランス語なのか、などの簡単な質問から、輸出入のルールやレストランの値段設定、カタツムリとは一体何なのか、などの深い話へと入っていきます。
エスカルゴが紀元前から人間に食されていたことは、地中海近辺にある先史時代の遺跡から焼かれたカタツムリの殻が発掘されていることからわかります。良質なタンパク質の摂取源として重宝されていたエスカルゴは、古代ローマでさかんに養殖されていたと当時の学者が書物に記しています。しかし時が経つにつれ消費量が減り、その後19世紀に、フランスの美食家であった政治家により復活しました。これが理由で“エスカルゴはフランス”というイメージが強いのです。
最近では肌細胞の保護や潤滑物質としての役割も担っているカタツムリですが、このムチンというネバネバ粘膜がものすごいパワーのある物質であること、食用カタツムリは細菌や寄生虫を避けるために制御された環境で栽培する必要があり、それも高価である理由の一つであることなど、カタツムリから幅広い知識を得ることができます。
キャビアやフォアグラのように“デリカシー”として知られているエスカルゴですが、私が初めて食べたのはまだ高校生の頃。パリのシャンゼリゼ通りにあるレストランで “デリカシーって何?”という素朴な質問から始まった父との会話を今でも覚えています。あれから25年以上経ちましたが、きっと生徒達も昔の私と同じワクワク感で学んでくれたのかな、と嬉しくなりました。
エスカルゴの香り、味、噛んだ感触、そして想像していたものとのギャップの全てを楽しみながら好奇心を育み知識を培う3Qレッスン。どんなトピックでも楽しめます。ぜひご家庭でも取り入れてみてくだいね。
教育スペシャリスト メアリー先生 vol. 13
(日刊サン 2020.2.7)
メアリー
教育現場に24年携わるハワイ在住の教育スペシャリスト。カカアコにて英才キッズアカデミーを運営。人間能力開発研究所の創立者であるドーマン博士に直々教わったテクニックと独自の研究を合わせ、「IQ(頭脳)とEQ(人間性)をバランスよく育てる教育法」を開発。こどもLLCなど、子どもが社会に出るのを楽しみにするようなレッスンが人気。また、ストレスのない受験対策や子育ての細かい指導法は信頼が厚い。
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