数日前は半袖で過ごすほどぽっかぽか春の陽気に包まれたマンハッタン。その時間がまるで夢だったかのように、昨日は雪が舞った。気温が上がったり下がったりしながらだんだんと春を迎える準備をしている自然界。地球上で何が起きようとも、淡々と次の季節に向けて地球は世界は動いてる。

　「大きな作品を描きたい！」数年前から絵を描くようになり、絵を描くことで生きるようになってからずっと心に描いていた夢。そんな夢が叶う日はあっさりとやってきた。フロリダにあるギャラリーオーナーに呼んでいただき、実現したのだ。フロリダは超がつくほど大きな家がたくさんある。そこに飾る絵は、最低でも2メートルを超えたものが必要らしくとにかく大きな作品をつくってほしいとのご依頼が。

　急遽、フロリダに飛んで大作にチャレンジ。今まで経験したことのないスケールを描くそのプロセスは、今まで味わったことのなかった挑戦もたくさん。初めて見える世界を経験するのは幾つになってもエキサイティングで子供の頃に味わったような無邪気な好奇心がムクムクと顔を出す。

　創作の合間には、外へ出ると燦々と輝く太陽。両手を広げて太陽の光を身体いっぱい浴びてみた。ああ、ここは極寒の地ニューヨークではないんだなあとふと我にかえる時間。

　ニューヨークから南へたったの2時間半行った先にはビーチで寝転び、ビキニ姿で日光浴している人たち。

　冬の間に暖かい場所へと移動する人々に人気の高い場所、フロリダ。レストランは予約も取れないほどの大混雑。誰もマスクもしておらず、コロナ渦の空気感など一切ない世界。まるで時間がコロナ前まで逆戻ったみたい。寒い時は暖かいところへ。渡り鳥のように自由に陽気に生きる人たちであふれていた。

　ああ、そうか。一度きりの人生やりたいようにやればいい。いろんな生き方があっていいし、いろんな生き方を選んでいける。世界を旅しながら大好きな絵を描く生活もありだな。

　いつもの場所から少し離れてみるといつもとは違う世界が見えてくる。

　大きなキャンバスを描くのと同じように大きな思考で大きく生きよう。ちっちゃな制限なんて取っ払って、果てしない大空を舞う渡り鳥のような人生を送りたいと思った。