ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする
Vol. 27 コロナウィルスでわかるアナログ人間の危機
ハワイはのんびりとした良い場所なので、AIやIT、デジタルを好まない大人たちが、あえて人間らしい暮らしを求めて住んでいることもありますが、たまに驚くほど、アナログな仕事人がいてびっくりします。
先日、スタッフのシフトを店の壁にかかったカレンダーに手書きしている店長がいました。なぜカレンダーの前に来ないと見られないものにシフトを書いているのか全く意味がわからず、GoogleカレンダーやLINEなど、スタッフにシェアできるような便利なツールを使わないか?と不思議でなりませんでした。
理由を知りたくてよくよく話をしていくと、PCを持ってらず携帯だけで生活しているとのこと。本人としては、特に不自由はなく必要性は感じないと言い切っていたが、周りが迷惑していることに全く気づいていない様子でした。時代の進化に合わせて新しいことを学ぶことを諦めてしまっていることで、周りの人の時間を奪っていることに全く気づいていないのです。
今回のコロナウィルスの件で、外出できない事態になった時に、中国は1億8千万人いる小中高生が自宅でインターネットを通じて学習する仕組みを一気に整えました。政府は学生が滞りなく授業を受けられるように、5千万人が同時に通信会社にアクセスできるように準備したのです。
同じ事態になった時、アメリカはオンライン化がすぐできるので、問題なく自宅待機となるでしょう。アメリカの子ども達はPCやiPadなどのツールで授業を受けることができますが、日本に住む子どもたちはどうでしょうか?
また大人の場合、リモートワークで仕事ができない人はどうなるのでしょうか? そこの場所に行かなければ仕事ができない場合など、この状況が数カ月も続けば、収入の不安や会社の倒産など起こり得ます。収入の柱が一つの場合は家計も危うくなるでしょう。PCのない家など論外ですし、「オンライン会議の参加方法がわからない」と平然と言う方もいます。それは、電話が家になくて緊急事態の危険の中、隣人が代わってわざわざ伝えに行くくらいの、迷惑度なのです。
だから、“アナログで自分はいい”と思っていても、無知や無能は他人の足手まといになることを子ども達にはしっかりと教えておく必要があります。勉強のゴールは受験や就職までで終わりではありません。一生、勉強をし続ける習慣をつけ、社会の一員として他人の負担になったり、緊急事態に足手まといになったりすることなく、力を発揮できる人材になっていくことが大切です。ひいては命にも関わってくることもあるのです。
(日刊サン 2020.2.21)