その空間に適した香り
前回、クリスマスの香りについてコラムに書かせていただきましたが、ちょうどその後にこんな出来事がありました。
私の住んでいる場所はコンドミニアムなのですが、この時期にロビーにクリスマスツリーやクリスマスデコレーションが飾られるコンドミニアムは少なくないのではないでしょうか。私の住むコンドミニアムでは、通常は毎年同じようなクリスマスツリーや飾られているような気がしますが、今年はクリスマスツリーの位置も違って、何よりも今までになかった香りがありました。シナモンをベースにしたスパイシーで甘い香りがロービーに漂っていて、誰でもすぐに気づくくらい、さりげなくと言うよりは、主張している香りです。5歳の娘は、良い香りと言っていましたが、主人は香水なども苦手で、すぐに「これはオフィスに文句を言うべきだ」と言っていたくらい不快に思ったようです。
そうなんです、クリスマスっぽい香りと言ってもスパイス系の香りが強く出てしまうと苦手な方も多いので、私が今年作ったブレンドもその点を注意しました。スパイス系のシナモン、クローブ、ブラックペッパーをブレンドしていますが、それらが主張し過ぎずに遠くに微かに香る程度、それでもしっかりと存在感があるようにバランスを考えてブレンドしています。
私は空間の香りをデザインすることもしていますが、空間というのは場所によって様々な用途で使われて、様々な年齢や性別の方々が集います。それをしっかりとヒアリングして、目で確かめてリサーチを行って、さらにクライアントの希望も考慮して香りを作り上げていきます。今回の場合は、誰かが香りを作ったわけではなく、何か市販の香りを使用したはずですが、「クリスマス」にこだわり過ぎたのか、それとも香りを選んだ人の趣味なのかわかりませんが、コンドミニアムのロビーには適していなかった香りだったというわけです。
コンドミニアムのロビー。場所によってはご年配が多かったり、小さい子供のいる家庭が多かったりと様々。多くの世帯が入っている住居空間なので、一般的にコンドミニアムのロビーを使用する人の年齢や性別は様々と言えるでしょう。また、ロビーは大体1日に2度は必ず通る場所とも思えます。住んでいる人であれば、どこかへ出かけたら必ず戻るので、それだけで2回です。私の場合は、子供の送り迎えなど何かと出入りをするので、1日最低4回は通ります。そして、時間帯も朝から晩まで誰かしら通ります。そうすると、朝(夜)っぽい香りとか時間に合わせた香りではなく、年齢に合わせた香りでもありません。私だったら、フェイクのクリスマスツリーから香るモミやスコッチパインなど木の香りをメインにしたブレンドを使うでしょう。森に行って、嫌な香りがすると思う人はあまりいないのではないかと思いますので、万人に受け入れられる香りであり、時間を問わない香りと言えると思います。また、今の状況下では、空気をきれいにする作用があるのも一石二鳥かなと思います。皆さんのクリスマスツリーには香りがありますか?
アロマのある生活 No.145
山中麻瑠 Maru Yamanaka
1999年に渡豪、IFA認定アロマセラピストとなる。オーストラリア某有名デイスパ、日本で医療現場、ホテルスパ、等で経験を積み、アロマセラピスト育成講師も務める。2005年ハワイに渡り、2008年より11年間アロマアットホームのオーナーを務める。現在、アロマセラピーを広める活動中。2014年からアロマセラピーワークショップ開催。
インスタグラム:@marukimoto_808aroma
FBページ:MY Essence Hawaii
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