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デジタル版・新聞

インタビュー

SPARK代表取締役 岩田正志さん

SPARKは芸能人や有名モデルが多数訪れるセレブ御用達の古着屋さん。オーナーの岩田さんがデザインするオリジナルデザインで 人気がまさにスパークし、メディアにも多数取り上げられています。レトロでポップ、圧倒的な存在感を誇るSPARKの魅力について、岩田さんにお話を伺いました。

ライター:相原光

 

 

ハワイの古着王道

 

見えない線路の上をレールがあるみたいに進んで行った

僕は北海道の函館出身です。子供の頃は外で走り回るタイプで、地元にじっとしているよりも遠出するのが好きでした。中学までは函館にいまして、器械体操をやっていたおかげで高校・大学はスポ一ツ推薦でエスカレートで行くことができました。それで、高校は旭川、大学は札幌と、北海道三 大都市に住みました。

 

実家が車屋をやっていて、僕は長男なので大学を卒業したら跡を継ぐつもりでした。でも、いきなり父の会社に就職する前に、外で勉強してみることにして、それで沖縄まで飛んだんです。端から端まで行ってやろうと思って。北海道も島だし、沖縄も島でいいんじゃないかなと。要はあったかいところに逃げたかったんですが(笑)。

 

そこでしばらく修行をしていたのですが、北海道の人間にしてみると、見るものすベてが南国リゾート。開放感がありすぎて仕事が手につかない(笑)。いくつか仕事を 転々としているうちに、米軍基地で働くきっかけがありまして、それでアメリカに行くことになりました。

 

最初はカルフォルニア、それからテキサス、またカルフォルニアに戻り、と割と短い期間に各地を転々としました。そうすると、色々なものをそれぞれの地域で見てくるじゃないですか。僕は自分が生まれる少し前のアメリカ・ゴールデン時代の1950年代、60年代のものが好きで、アンティークショップや古着屋さんを良く見て回っていましたね。

 

元々自分が住んでいる地域を把握しないと気がすまないんですよ。行った街の電話帳を持って帰ってきて自分で研究して開拓したり、それは今でもやっています。子供の頃から同じことをやっていましたね。修学旅行で京都や奈良に行った時も、お土産にはその地域の電話帳を持って帰ってきましたからね(笑)。

 

いつかここに住む時に困らないように。どんなお店があるんだろう? と思いながら。 結局最終的にハワイにやって来てそのまま 働くことになったわけですが、ハワイには一度も来たことがなかった、憧れの地でした。でも 大学を卒業してからハワイまでは割りとあっという間で、見えない線路の上をレールがあるように進んで行ったという感じです。

 

 

スタートはアンティークショップ

ハワイに来て仕事を始めて、カミさんと出会って、それで何かやろうということになって、一番最初にビジネスを始めたのがアンティークショップなんですよ。アンティーク・ストリューム・コーポレーションという名前で、クヒオとカイウラニの角のところで、404スクエアフィートの小さいお店でした。

 

27歳で結婚して、結婚した次の日にオープンしたんです。アメリカでアンティークショップという言葉を使う場合、その物が100年以上経ってないとアンティークとは言えないんですよ。

 

僕の集めていたものは1940年代から60年代のものですから、正式にはアンティークではなくて“コレクタブル”になります。昔の顔のミッキーマウスとかスヌーピーなんかですね。

 

アンティーク・ストリューム・コーポレーションを設立した頃に、ちょうどアンティークブームがありまして、『なんでも鑑定団』という番組が始まりました。そのせいで日本から掘り出し物を探しに来る方が多かったですね。

 

その数年後に古着ブームが起こって、1本何百万円のジーンズやジャケットを掘り出して、業者さんに売ったりして。波に乗ったというわけでもないのですが、たまたまブームのおかげで小さなお店に色んな方がお客様としていらしてくれました。

 

ハワイに来たばかりの頃は、アロハスタジアムでも出店していたんですよ。ピニールシ ートにリーバイスのジ一ンズをズラっと並べて、フェンス側にはビンテージのものを飾って。日本の古着屋さんから”お店を出さなくていいから直接うちに売って欲しい”という話が何件もきました。

 

だから月に何千本というジ一ンズを日本に送っていましたね。フリーマーケット、スリフトショップ、ガレージセールなんかで仕入れて。自分が動けば動くほど商品は集まってくる。

 

ハワイで一番最初に デニムを集め始めたのは僕ですね。1日で島中回っていましたから、今じゃ現地の人よりも裏道を知ってます(笑)。 すこいものが出たりするんですよ。 1890 年代のパイナップル畑の農作業で使っていたものとか。

 

ジ一ンズのヒストリーって農作業着の歴史だったんですよ。デニムのイン ディゴブルーというのは、虫を寄せ付けない性質があった。だから古いものも虫にやられずに残っているんですね。リーバイスの本社に送って資料にした方がいいんじゃないかというものもありましたね。

 

今から20 年くらい前にジ一ンズを集めていた人は、2・3ドルで買ったものが100万円で売れたりしていました。アメリカでも日本ではジーンズが高く売れるという情報が広まつてしまったので、2· 3ドルで買ったものを日本人向けに3000ドルの値をつけてフリーマーケットに出している業者もいましたよ。

 

それを買ってしまえばまあ手間はかからないんですが、やっぱりも ったいないですから、僕は自分で探しに奥地に入って行ってました。危ない目にも遭いながら(笑)。

 

スリフトショップとかって治安のあまり良くない場所にありますからね。 道ですれ違った人にお願いしてジ一ンズを交換してもらったりもしましたね。新しいジ一ンズを買ってあげるからといって、お店まで連 れて行って古いものをもらったりとか(笑)。

 

今はコピーがたくさん出ているので、顕微鏡で絨維を見たり、匂いをかいだりしないと分からない。僕は当時触っていたから 本物を知っていますから、あの匂いだとすぐわかります(笑)。

 

僕はジュークボックスも集めていたのですが、ハワイにはそういう人があまりいなかったんです。お店に4·5 台ずら っと並べていたら、撮影で貸して欲しいという依頼が結構ありました。買 って行った方も何人かいましたね。

 

その中でもなべおさみさんとは今でもお客様以上のお付き合いをさせて頂いていて、 1 年に1度日本に帰る時は、自分が売ったジュー クボックスをメンテナンスという名目で見に行っています。息子さんのなべやかんさんもコレクターなので、親しくしくなりました。

 

僕は日本を出てしまっているので、日本の 物はあまり分からない。反対に、アメリカの物はある程度集めてしまっているので、今度は自分が幼い時やその前のキャラクター物なんか が好きになってきました。

 

昔のペコちゃんとか、赤電話とか、ボンカレーやオロナミンCの 看板とか、そういう昭和レトロものを日本で買 ってきたりしています。あえて個人でそういうものを集めるのも面臼いかなと思いますね。 ハワイのものも結構集めましたね。ハワイのフラドールなんかは、ハワイ製かと思ったら日本製だったり。そういうコレクションの集大成が今のスパークですね。

 

 

いいデザインはずっと残る

カラカウアにあったスパークの1号店は、元々は古着屋さんでした。古着でものすこく良いデザインのものがありますよね、 それをお店に飾りたいじゃないですか?

 

で もそういう良いデザインのものは飾る途中 で売れてしまうので、飾る楽しみがなくなってしまうんですよ。一瞬でなくなってしまうので悲しいけれど、同じものを探しに行く のはほとんど不可能ですよね。

 

どうしたらいいだろうと思って、考えて考えて、“デザイン のテイスティングだけ使って自分でデザインすればたくさん物ができるな”と思いついたんです。ですから、原点は古着のものすこく良い デザインのTシャツなんです。

 

まるっきりコ ピ一をするのは誰にでもできる。でもそこに 自分のテイストを80パ一セントくらい加え ていくと、オリジナルになっていくんですね。 そこにスパ一クという名前を付け加えるようにしていきました。

 

それをやっていたら、お客様層が女性に 変わってきたんです。 初めは男性向けの古 着屋だったので女性も増やそうと思い、70年代のサイケデリックなヒッピー調の服を 仕入れたら、それが良く動いたんです。

 

その 中にレデイ一スの良いデザインのTシャツ があって、それを女性がスゴイスゴイと喜 んで買っていった。アパレル業で有名な販売員の定員さんやオーナーも、うちで買い 付けをしていくようになって、それをデザイ ンの資料として服を作っている人もいまし た。

 

うちはいい資料をたくさん持っているん だなと、それで改めて思いました。これは宝 物を目の前にしているのにもったいないな と思って、それがきっかけで自分でデザインをするようになりました。あまり凝ったものは作らないですね。

 

うちのテイストでいうと“ダサカワイイ”。下手に凝ったものは逆に売れないんです。落書き程度のものが売れる。

 

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