竹内亨(たけうちとおる)
1967年奈良県生まれ、現在は京都在住。嵐山デザインガレージ創業者。京都教育大学、特修美術科卒業。グラフィックデザイナーからHP作成、ウエブプログラマーへ。『自動車ランニングコスト』、『ナンプレ京』、『ワラタン』はじめ多くのウエブサイトを運営。
◆ナンプレ京 nanpre.adg5.com/
◆自動車ランニングコスト car-life.adg7.com/
◆マンガで笑って覚える英単語 ワラタン www.adg03.com/waratan/
日刊サンで人気のナンプレは、 中〜上級
日刊サンに掲載している人気のナンプレ。1〜9までの数字を使ったパズルがナンバープレース(ナンプレ)だ。このオリジナルの作者が今回ご紹介する竹内亨(たけうちとおる)さんであります。
数字を網羅するナンプレの原作者ならば、ガチガチの理数系かと思いきや、竹内さんは物腰柔らかなナイスガイ。現在は京都在住で、ウエブ上で『ナンプレ京』の無料サイトを開設。一日2万人もの訪問者が、ブラウザでナンプレを解き遊んでいる人気サイトなんだそう。
ナンプレそのものの歴史は、1892年にフランスの新聞に9×9の盤面を埋めるパズルが掲載されたのが最初。現在のナンプレはそれをさらに3×3のブロックに分け、その考案者はアメリカ人の建築家だという。1980年代には世界各地に広がった。日本では1990年代の後半から専門誌などが創刊し始められ、2006年から新聞や雑誌が盛んにナンプレを掲載するようになった。世界パズル選手権でもさまざまなパズルに混ざってナンプレも出題されている。
そんなナンプレの楽しさ、初心者に分かりやすい解き方、そして竹内さん自身、どんなきっかけでナンプレ作者になったのかをインタビューした。
ちなみに筆者はナンプレ初体験の超ド素人。日刊サンではレベル3〜4の問題を掲載しているので、読者の皆さんは中〜上級レベルの大センパイです!
竹内さんのウエブサイト『ナンプレ京』には 名人級の超難問も
「これまで作った問題数は1万以上で、『ナンプレ京』には毎日7問、日替わりで問題を追加しています。初心者のレベル0から名人級のレベル6、僕が作るプログラム上で限界のレベル7まであります」
ナンプレはタテ9列、ヨコ9列に数字が入っている。使う数字は1から9まで。つまり、パズルが全部埋まった状態だと、9×9=81マスの数字が入るが、初級者ならあらかじめ50マス前後の数字が埋まった出題パズルを解いていく。
「埋まっている数字がヒントになるわけですから、名人級のレベル6くらいになるとどんどん少なくなり、23マスくらいしか埋まっていないのでスカスカ、手がかりがなかなかつかめません。高度な知的テクニックを駆使して解答することになります」
僕自身、通勤時間にナンプレにはまってしまった
竹内さん自身、ナンプレとはどんな出会いだったのですか? 「子どもの頃から運動が苦手で、家の中でお絵描きばかりしていました。大学も美大に通ったり、グラフィックデザインの仕事をしたり、1992年に初めてMacを買ってからはコンピュータに夢中になって、さまざまなソフトやホームページを作成し始めました。寝食よりMacの前にいるほうが好きだったからオタクですね(笑)」
2004年、フリーランスのシステムエンジニアに転職し、京都から仕事の契約のある大阪まで通う行き帰り、ナンプレにはまってしまったのだという。
「電車通勤で片道40分くらい、はじめは携帯のいろんなゲームで遊んでいたんですが、ある日ナンプレをしたら、数字だけのとてもシンプルなパズルなんだけど、シンプルだけにすごく引き込まれて、取り憑かれたように夢中になってしまいました」
筆者も初めてナンプレに挑戦した時、しばし日常を忘れて不思議なくらい集中できて、頭使うから疲れるかと思ったら、解答していくうちに逆に頭がスッキリしてきました。
「そうでしょう! 脳トレしてるんだけど頭が空っぽになっていく爽快感があります」
はじめは恐るおそる慎重に数字を入れていく。ある程度進むとあら!?、解答の速度が増していき、最後はスラスラ。なんか自分の頭が良くなっていくような、高揚感と達成感も快感でした。
「上達してくると解答スピードも自慢したくなるんですよ(笑)。ナンプレ京のサイトでも、時間レコードを入力することができます。すごい難問をたった2分で解いちゃう人とかいて、白熱しています」
解答者から出題者へ––––– 問題はまず、解答を作る
「僕が始めた頃、雑誌などに掲載されているナンプレも人気でしたが、僕自身は通勤途中の電車の中で、スマホのアプリをダウンロードして遊んでいました。でもシニアの人や家にいる主婦は、スマホのダウンロードをするより、パソコンからすぐにアクセスできた方が楽なんじゃないかなあと思って、プログラミングをしてみたんです」
竹内さんは、ナンプレのソフトを開発したわけですね? 「そうです、参考になるソフトもあったので、遊びの延長みたいな感じで作りました。問題はまず、数字が全部埋まった状態の解答から作るんです。作成用のソフトは何回も改良して賢くする必要があります。解答から作る方法は同じなんですけどね」
2015年に無料サイトの『ナンプレ京』を開設した。 「アクセスして下さる人が増えるにつれ、広告を出してくれるスポンサーも付き、僕の仕事の中心的収入源にもなっていきました」
ありそうでなかった、数々のHPを開設
竹内さんは『自動車ランニングコスト』というウエブサイトも運営している。これは車種や自動車保険、駐車場代などを入力することで、マイカーの維持費を簡易計算してくれるというもの。車を買いたい、燃費は、どんな保険に入ればいいのか、維持費を目安に比較検討ができる大変便利で人気のサイトだ。
「我が家は4人家族でして、学生時代に知り合った妻は、ナンプレを直感だけで解くフシギな人です。息子は正統派のナンプレテクニシャンです。長女は絵を描くのが好きで、受験の時に英単語を覚えやすくなるよう、娘が好きそうなマンガを描いた英単語帳を作ってあげたんです。700ちょっとの単語を作りました。それがなかなか好評だったので去年『ワラタン』というHPを開設しました」
マンガで笑って英単語を叩き込むから、ワラタン。すぐにアクセスできるので覗いたら、クスッ! ニタッと大ウケ! 「これも嬉しいことにアクセスが伸びています」
自分が好きで、遊びの延長で始めた『ナンプレ京』や、あると便利だなあという生活実感から生まれた『自動車ランニングコスト』、愛娘のために作った『ワラタン』。体温を感じるほどの等身大の発想が、ありそうでなかったユーティリティ仮想空間として“立派な仕事”になる時代なのですね。 「ITの世界でなら、資本金ゼロでも起業できるんです」
※ワラタン、日刊サンデビュー決定! 数々のワラタンを一つずつ紙面でご紹介します。お楽しみに!!
『ナンプレ解き方ガイドブック』をプレゼントします!
そんな竹内さんが、これまたありそうでなかった『初心者用ナンプレ解き方ガイドブック』を作ってしまった! 筆者はこれを虎の巻として、生まれて初めてナンプレに挑戦したのです。
タテとヨコ、それにボックスという3つのグループがあり、そこの空いてるマスに1から9までの数字を当てはめるのだけれど、それぞれが交差しているところが仕掛けで、タテ、ヨコ、ボックスそれぞれをクリアさせながら1から9の数字を入れて行くというパズル。
はて、どこから埋めるか? ガイドには「空白マスが少ないところから、候補の数字を入れ、まわりを見ながら数字を絞っていく」とある。
あった! 左下のボックスは空白マスが一つだけ。答えは“3”だ。
すると一番下のヨコ列の空白は残り2マス。“5”か“9”が候補だ。よし、タテ列を見てみよう……と、進んでいくわけですね。筆者は消せるペンで候補数字は青、決定数字は赤で書いたり消したりしました。 「初心者はじっくり楽しんでください。私の妻のように直感でやると、途中でどこからやり直していいのか戻れなくなっちゃいますから(笑)」
第二の解き方のコツは、「1の数字から順番に、タテ、ヨコ、ボックスの空きマスの中で、1の足りないところを探していくやり方」とある。これは全体を俯瞰で見る目も必要そうだ。まずタテ、一番左のタテ列には1がない。一番下はさっき3で埋めたので、候補は2マス。ヨコ列を見ると、どちらの列も1が足りないから、候補で留めて次の推理に進もうという具合。 「これに慣れるとスピードアップします」
息抜き用に美しい京都の写真も入っていて、問題は全部で11問、詳しい解き方ガイドが3例載っていて、練習問題には分かりやすいヒントが付いている。
このガイドブック、日刊サンの読者に特別プレゼントしてくれるそうです!
ぜひぜひご応募ください!
(取材・文 奥山夏実)
ナンプレ解き方 ガイドブック プレゼント!
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(日刊サン 2019.02.09)