広島の味を世界へ
世界の三大漬物は、ピクルス、ザーサイ、キムチなんです。すべて発酵させてあるタイプのもので、日本の漬物は浅漬けタイプのものが多いですからね。浅漬けタイプのものは日本人に好まれる味ですが、それがそのまま世界に通用するのかどうかは分かりません、味の嗜好が違いますからね。
原料の購入の関係で中国や台湾へ出張で行きますが、まずはそういったアジアで認められるようになりたいですね。おそらくアメリカやヨ ーロッパの方たちに食べていただくのは難しいと思います。お寿司のガリなんかはとっても特異な例だと思います。
漬物 っていうのは素材そのものですからね、試食して食べてもらうのが海外では難しいかも知れません。それでもアジアだけでも日本の味、広島の味を広げて行きたいですし、漬物を適して広島という町を世界に広げて行きたいと思っています。
山豊ハワイ進出は?
今回は、広島商工会議所の議員の一員としてホノルル日本人商工会議所との姉妹提携30周年記念式典などのために訪問し、様々な方との得がたい経験をさせていただく中でビジネスチャンスを図ったわけですが、本当のこというとハワイヘは仕事じゃなくて遊びで来たい場所なんですけどね(笑)
ハワイにはたくさんの日本人が住んでいて、広島からの移民は4割だと伺いました。ハワイにある日系のスーパーにも行ってみたのですが、年配の方が「おいしい漬物が食べたい」とおっしゃるのを伺って、こりゃ何とかして日本のおいしい漬物を食べさせてあげたいと思いましたね。商売以前に、同じ日本人として何とかしたいと思いました。
今は日本からアメリカには沢庵と生姜が輸入禁止になっていると聞きました。諸問題でFDAの認可が下りていないんです。それに円高が続いていることもありいろいろ難しいこともありますが、将来的にはここハワイで山豊のおいしい漬物が食べていただけるようにしたいです。
山本千曲(やまもと ちくま)
1957年、広島市で生まれる。崇徳中・高校卒業後、 県立農業短期大学(現県立広島大学)卒業後、大阪の 漬物問屋へ丁稚奉公の後、自社に帰る。常務取締役を 経て、 1998年株式会社山豊の二代目社長に就任。翌 年中国協力工場への技術協力による原料加工生産の 本格稼動を開始し、その翌年にはカナダ国立研究所 (CRDA)とのサブライセンス契約(乳酸菌利用の共同 研究)を結ぶなど積極的に海外に目を向け始める。ま た1S014001 (JIS Q 14001· 環境管理システム)認 定取得するなど、地球哀境にやさしい企業作りに取り 組んでいる。
(日刊サン 2012.07.13)