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デジタル版・新聞

インタビュー

株式会社山豊社長 山本千曲さん

左:山本千曲さん(ハワイ報知元社長の円福氏と)

 

広島菜の漬物一筋50年、内閣総理大臣賞を受賞した山豊の代表的な漬物「安藝菜(あきな)」は、地元太田川沿いの地の利に恵まれた土壌を利用し、契約農家によって栽培された広島菜を使って作られています。今後はここハワイでも漬物の販売をしていきたいと夢を語る山本千曲社長。この日は山豊創業者であるお父様の山本豊氏の学友でもあった、ハワイ報知社元社長の円福氏と対談し、懐かしい広島での学生時代の話から、今後の山豊の事業展開についてまで、幅広く話を伺いました。

ライター :ケイコ ・ ジョンソン

 

父から受け継いだ感謝と謙虚の心は、生涯変わることのない山豊の経営理念

奢ることなく真摯な心で美味しい漬物を作り続けていきたい

 

 

67年の歳月を超えて、電話での再開を果たした同級生

ハワイ報知社元社長の円福さんと、山本千曲さんのお父様で山豊の創業者である山本豊さんとは同級の間柄。広島市内にある徳高校(旧制徳中学校)の同じ第45回卒業生でした。

 

この日、山本千曲さんと円福さんとは初対面でしたが、同郷であり、又同じ学校の先輩と後輩ということもあり、広島から遠く離れたここハワイでの顔合わせは、二人にとって特別のものになったようです。

 

円福さんと千曲さんのお父様、山本豊さんは、共に昭和20年3月に広島の旧制崇徳中学校を卒業されました。その後円福さんは東京の大学へ、山本豊さんは学 徒動員で山口県にいたため、昭和20年8月、広島に原爆が投下されたときには、二人とも奇しくも難を逃れました。

 

円福さんは当時のことをこう語ります。「広島に変な爆弾が落ちたと東京で聞きました。すぐに東京駅に行ったのですが人がいっぱいで、二日間かかって切符を買って広島に向かいました。広島に着くと、そこには切符を受け取る駅員すらおらず、変なにおいがしとりました。そんな中を歩いて、以前下宿していた同級生の家を訪ねたんですが、同級生のお母さんが生きとってくれました。その後は食べるものにも苦労して苦しい時代でしたが、今思うと懐かしくもあります」と言って、千曲さんがお父様からことづかってきた手紙を読み、懐かしそうに目を細めていました。

 

お二人は旧制崇徳中学校を卒業して以来一度も会っていないようですが、その後ハワイと日本という離れた場所で長い年月を過ごしてきたにも関わらず、心のどこかでずっと繋がっていたように感じられました。この後、千曲さんが日本にいるお父様に電話をし、円福さんと山本豊さんは67年の歳月を飛び越え、電話で再会を果たしました。電話口では懐かしい18歳のあの頃に想いが馳せられたようです。

 

 

円福さんより山本千曲社長ヘメッセージ

ぜひここハワイで山豊のお店を開いてください。ハワイは日本人が多いので漬物をみんな食べますよ。私たちの孫の世代の若い者もみんな漬物を食べますからね。うちの孫もお茶漬けが大好きで、お茶漬けを食べるには漬物が必要だったからね。もし店を構えるのが大変だったら、まずはどこかにスペースを借りて、そこで美味しい漬物が買えるようにしてください。

 

ハワイで簡単に美味しい漬物が買えるようにしていただけると嬉しいですね。最初から大きなお店は大変でしょうから、小さいスペースから始めて、いつかお店を開いて欲しいもんです。それにぜひお父さんにもお会いしたいですな。ハワイに来るのが大変なら、私が広島に会いにいきますよ。

 

 

円福さんにお会いして

円福さんは若いうちから海外に出て、 きっとたくさんの苦労をなさったんじゃないかと思います。円福さんは私の学校の先輩でもありますからね、今日お会いできて感動のきわみです。広島から遠く離れたハワイの地で、故郷のことを忘れずにいてくれたのもうれしいです。父にしっかり報告します。

 

今日円福さんにお会いして、懐かしい母校の話をしたのですが、ホノルルにも同じ宗門学校である本派本願寺ハワイ別院の付属学校もあることですし、これからも母校を通してハワイとの何らかのこ縁が続くことを念願しています。

 

 

会社設立9年で内閣総理大臣賞を受賞

昭和37年に法人化して、その後たった9年で内閣総理大臣賞をいただいたんです。普通は老舗がもらうような賞なので、いただいたときはとってもうれしかったです。その後昭和50年に農林大臣賞、平成14年に農林水産大臣賞もいただきました。

 

最近では3年前に広島市がブランド委員会というのを立ち上げて、晟初の年の「ザ・広島ブ ランド」の認定商品に選んでいただき、今年は 「安藝菜」で2品目の認定を頂きました。他には過去 13年間にパッケージで 「ひろしまグッドデザイン賞を4点ほどいただき、とてもうれしかったですし、やりがいを感じました。

 

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