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デジタル版・新聞

インタビュー

文学博士・国際コミュニオン学会名誉会長NPOコミュニオン顧問 鈴木秀子先生

片付けやダイエットのコツは、自分が気持ちいいという感覚を信じること

知人で片付けられない人がいます。彼女はとても有名な出版社に勤める超一流の編集者ですが、家はゴミの山で、汚臭がするほどです。彼女は 「私は病気だから片付けられない」と言うのです。

 

「それなら片付けなくていいから、あなたにとって家の中で一番大切な場所はどこですか」と尋ねると彼女は「テーブルです」と 答えました。 「テーブルの上全体を片付けるのは大変ですから、 10センチ四方だけ場所をあけて置くようにしたらどうかしら。そうすればコップ1つ乗せられますよ」と私は提案してみました。

 

そうしたら、そこには絶対に物を置かないという10センチができたのです。 それを1週間続けたら、もう少し広げて みる気になり、20センチになりました。次はテーブルの上、次はイスの上と続けて行き、そこで一気に全部片付けることができたのです。

 

そうやって小さいところから積み 重ねると、元には戻らないのです。 コツは、10センチあけた時に 「自分が気持ち良いかどうか」を感じることです。気持ちが良ければ、その 「気持ち良さ」を信じること。気持ちが悪かったら続けられませんが、気持ちが良ければ続けられます。

 

体というのはそういうことを教えてくれます。自分が 「気持ち良い」という感覚を信じなさいと 教えています。例えば、いつも食べ過ぎてしまう人は食べ過ぎると 「こんなに食べなければ良か った」と思いますよね? その感覚を覚えておきます。お腹がすいている時の感覚も覚えておきます。

 

そしてどちらが気持ち良いか、自分の体に聞いてみます。食ぺ過ぎて 苦しい時の方が気持ちが良いか、お腹がすいている時の方が気持ち良いか、体に聞き続けると3ヶ月くらいで体が変わってきます。無理にダイエットしようとしなくて良いのです。

 

「気持ちが良い」ということに脳は反応します。昔みたいに修行する必要はないのです。 ダイエットをしてもすぐにリバウンドしてしまう人は、 「気持ちの良さ」を感じていないからです。 「痩せなきゃいけない」「これを食べると太る」と思うと、脳がそのように働きます。

 

ダイエットは無理して努力したら駄目です。リバウンドしてしまう人は無理しているのです。「太ったっていいじゃない。でもこれくらい食べると気持ちがいいね」と思っていると、同じ量を食べても太らなくなります。

 

「こうしなくちゃいけない」 「こうするべきだ」という考え方が一番駄目です。私たちは今までそう教わってきました。 「努力しなければいけない」 「勉強しなければいけない」 というふうに。これからは「楽しむ」ことが大切です。脳の学者は今それを一生懸命伝えようとしています。

 

 

謙遜の文化はもう消えなければならない、これからは喜びを表現する時代

私たちは今、すごく面白い時代に来ていると思います。50年ほど前、私が初めて教 壇に立つ練習をしていた時に、京都大学の 生理学の教授が生徒の父兄として私に会いに来ました。

 

その方は 「今はいい子供を育てようとして倫理や道徳を教えたり、校則を守りなさい、こうしてはいけません、ということを教えていますけれど、そんなことは教える必要がなくなります。これから脳科学が発達して、脳にどのような気持ちを 送るかによって、人間は作られるということが分かってきますから、教え方がまったく変わりますよ」と仰いました。

 

その教授は40年後に優秀な学者として文化勲章を授 与されました。 努力して、無理して人間を縛るようなことは、役に立ちません。それよりも、楽しんで、自分のいいところを見つけて、そこに焦点を合わせ続けると、知らないうちに自分も良くなり周りも良くなっていく。

 

それには良い所を見つける訓練、良い所を伝え合う訓練、感謝の気持ちを伝え合う訓練、喜びを表現する訓練が必要です。 子供を育てる時は 「そんなことをしてはいけません」というよりも、いい事をした時に 「良かったね」と言ってあげること。

 

子供は褒められれば「これでいいんだな」と覚えていきます。 「してはいけません」と言われると、人間は反発するものです。

 

今までの心理学は、 「鬱になったした人をどうやって社会に復帰させるか」という 考え方が基本でした。幼児体験を探って原 因を探したりしていましたが、重度の場合を除き、これからはそんなことをしなくて良いのです。

 

ある程度社会に適応している人は、自分の良い所を見つけてそれを伸ばした方が社会で活動できるようになります。そして、自分の良い所を見つける訓練と同時に、お互いに良い所を見つけて、良い絆を築くことが大事です。

 

友人でも家族でも、いざという時に頼れる人を作っておくという生き方が大事です。 人間にとって一番深い喜びは、 「自分が人のために何かできる」ということなんですね。東北の震災で被災された多くの人たちが 「自分が他の人のために何もできないことがつらい」と言っています。

 

人のために何 かができるということが、魂を満たしていくのですね。ですから、自分の仕事に心を込めるだけでいいのです。そうすると社会の中に幸せが広がっていき、いい社会になっていきます。 いかにお金持ちでも世間的に見て幸せに見えても、心を開いて話すと大きな苦し みを味わっていることがあります。

 

逆に、何 も持っていなくてもニコニコしていて明るい人もいます。お金はなくても今日生きていけるだけで幸せですと感謝できる人は幸せですね。 「自分なんて駄目だ」 「できない」と言うと、駄目なように、できないように脳が動きます。

 

日本人は謙遜するから「そんなことないですよ」と言われるのを期待して 「自分は駄目だ」と言うのですが、そういう文化はもう消えなければなりません。 「おかげさまでやっています」 「楽しんでいます」と答えるようにするべきです。

 

病院で行われた実験で、患者を 「良いことを言い続けるグループ」と、 「痛みを訴えるグループ」に分けて1ヶ月ほど様子を見たところ、愚痴ばかり言い続けたグループは70人中60人が死んでしまいました。良い事と感謝を言っていたグループは、70人中4人しか死にませんでした。いかに言葉のカが大きく働くかということがよく分かります。言霊というのはとても重要です。

 

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