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インタビュー

今年で10周年、著名アーティスト勢揃い!ウクレレピクニック・イン・ハワイ 関口和之さん 特別インタビュー

ハワイといえばウクレレ、ウクレレといえばハワイ。ハワイとウクレレは相思相愛の仲。幼なじみの親友のようにツーカーで、恋人達のようにラブ&ピース。

ハワイの島々には、美しい自然がいっぱいだ。きらめく太陽、果てしない海とファインウェーブ。抜けるような青空、白い雲。椰子の木を奏でる貿易風や雨上がりのレインボー。

そんな豊かなハワイの自然を賛美するのが、小ちゃいながらも幸せの使者ウクレレだ。ポロロン♪ と奏でれば、あたり一面がハッピーになる。ノホホン♪ と聞いていると、心がほどけて寛げる。寒い季節にはウクレレの音が温かく感じられ、暑い時には涼やかな風となってくれる。

愛すべきウクレレの魅力を一人でも多くの人とシェアし合いながら、日本とハワイの交流をもっと深めたい、という思いで始まった『ウクレレピクニック・イン・ハワイ』。ハワイのローカルの間では、『ウクピク』の愛称で親しまれている恒例の野外イベントだ。

発起人は、自他共に認めるウクレレ愛好家である関口和之さん。2009年に第1回目が開催されて以来、今年は記念すべき10回目を迎える。節目の年にもう一度、ウクレレというハワイの愛すべき宝物の良さを伝えたいと、関口さんは日刊サンのインタビューに応じてくれた。

 

ウクピクの始まりは日本、 えひめ丸の7回忌を機にハワイで開催

実はウクピクは日本でも20年続けている有名なウクレレの祭典。その始まりはハワイ島なんです。25年ほど前、ハワイ島のノースコハラで、スラッキー&ウクレレフェスティバルというのが開催されていて、僕ら日本のウクレレ好きも参加していて、日本でもこんなイベントをやろうということで始まったのが日本のウクレレピクニック。それで毎年回を重ねていく中で、オアフ島の沖合で水産高校の研修船「えひめ丸」が沈没する事件がありました。犠牲者の方々が7回忌を迎えようとしていた時に遺族会の方のお話を聞いたことが、ハワイでウクピクを開催するきっかけとなりました。

 

えひめ丸事件とは、2001年にオアフ島沖で愛媛県立宇和島水産高校(同県宇和島市)の実習船えひめ丸が米原潜に衝突され沈没、実習生ら9人が亡くなった事故だ。実習生の水口峻志さん(当時17)は、事故で唯一遺体が見つかっていない。

 

その事故の直後からハワイの人たちがどんなことをしてくれたか、日本で伝えられることがなかったお話をたくさん伺うことができました。例えばハワイ文化の象徴でもある「ホクレア号」は、事故直後に行方不明者の家族を現場水域に連れて行き、オリを捧げました。2007年に日本を目指した航海でも宇和島市に寄港し、地元の人たちはハワイから犠牲者たちの魂を運んできてくれたと感激したそうです。

それで僕らも日本人としてハワイに対して恩返しがしたいという気持ちになりました。慰霊碑の佇むカカアコ公園で何かやることは事故の記憶が風化するのを引き止めることもできるかもしれないし、何よりも思いっきり平和でハッピーなイベントをやることが大きな意味での慰霊になるのではという思いもありました。

僕たち夫婦で宇和島にも行き、えひめ丸の関係者や遺族の方々にカカアコでウクレレピクニック・イン・ハワイを開催したいとお話ししたらとても喜んでくださって。それで2009年、第1回目のウクピク・インハワイを開催することができたんです。初めてのイベントを祝福するように大きくて美しい虹がかかったことをよく覚えています。

第2回目にはハワイ州副知事とホノルル市長から感謝状が贈られ、2011年の3回目には、次世代のウクレレスターの発掘を目的として、“インターナショナル・ウクレレコンテスト”を発足。地元の子ども達も多く参加した。

 

 

 

子どもにこそウクレレを。 ホノカ&アジータもウクピクでブレイク

5回目のウクレレコンテストのMVPは、ホノカ&アジータです。今では超絶テクニックのウクレレデュオとしてすっかり有名な二人で、世界各地のイベントで演奏し喝采を浴びていますが、当時はまだ普通の中学生と高校生。ウクピクで演奏しているところを特別ゲストだったBEGINに認められ、その年の沖縄うたの日コンサートに招待されることになったんです。

僕は世界中の子どもに、ウクレレと仲良くなってほしい。学校の音楽の授業にウクレレを教材として使って欲しいと思っています。ウクピクでも第8回目から“100本ウクレレプロジェクト”をスタートし、地元ハワイの子ども達に毎年100本のウクレレを寄贈しています。

ウクレレは最も習得しやすい楽器です。2つか3つのコードを弾けるようになれば、それだけで歌える歌はたくさんある。初めてでもすぐに一曲マスターできる。子どもの手にぴったりの持ちやすさで、おもちゃのような楽しさを感じるはずです。実際、カナダやニュージーランドでは、ウクレレによる子どもの音楽教育を成功させている例があります。

 

日本の学校教育では、リコーダー(縦笛)を習うことが多いが、関口さんは「口をふさぐことのないウクレレの方が、歌って笑って弾けるから楽しい」と話す。

 

いつの時代にも子どもは宝物です。そして子どもの心の成長はデリケート。日々悩み、ちょっとした劣等感にも悶々としています。そんな子どもにこそウクレレは必要。ウクレレの音色の科学的な検証は明らかではありませんが、僕自身、癒しの音色だと感じています。心をニュートラルに戻す働きがあるように思うんです。だから子どものうちにウクレレと出会えば、一生の友達になれる。いつでも小さな可愛いい声で一緒に歌ってくれる友達です。

10 周年という節目に、ハワイの子ども達にウクレレを通して音楽の素晴らしさを伝え、ハワイの伝統的な音楽文化を継承していってほしいと、願いを新たにしています。

 

 

僕自身、小学校の2年か3年の頃 ウクレレと初めて出会って

2歳年上のいとこが音楽大好きだったんです。小学生の頃、そのいとこが発泡スチロールと木でギターを作って一緒に遊んでくれたりして。お菓子屋さんのクーポンを貯めて、ウクレレをもらったって、僕の目の前でウクレレ弾きながら加山雄三さんの曲を歌ってくれたんです。こんな小さい楽器で音楽ができるんだって、感激したのをよく覚えています。それが僕のウクレレとの出会い。

中学生になってギターでビートルズを弾いて、バンドをするようになってベースも弾くようになって。でもベースはアンサンブルの楽器だから、一人で弾くとあんまり楽しくはないんですよね。

それで1980年代後半、ウディ・アレン監督の『カイロの紫のバラ』っていうのを見たら、ミア・ファローが映画の中でウクレレを弾いていたんです。それがとっても可愛くて、ウクレレとの再会ですね。映画の後すぐに、渋谷でパイナップル型のウクレレと教則本を買いました。

ベースもウクレレも4弦ですが、ウクレレの音色はとにかくハッピー。後日知りましたが、ビートルズのジョージ・ハリスンは「ウクレレを弾く人、またはウクレレに関わる人達の中で、ハッピーでない人は見たことがない」と言っています。ハッピーは、ウクレレを語る上で重要なキーワードだと思います。 “ウクレレで平和な世界”をなんていう夢も、実現できるんじゃないかな。

 

ウクレレ神様、オータサンも ウクピクの常連に

ウクレレに再会した直後、友人が世界一のウクレレ弾きがラジオで特集されると聞き、ラジオの前で正座して待ちました(笑)。この時、オータサンの存在を初めて知りました。メロディとコードを織り交ぜながら演奏する技法を開発したのがオータサンで、曲のエッセンスを全部詰めることができる素晴らしい演奏スタイルです。ラジオではハワイアンではなく、スターダストやショパンのエチュードを弾き、小さなウクレレでこんな音楽ができるんだと感動しました。

90年代に入って関口さんは頻繁にハワイに通うようになった。中古楽器の店やアンティークショップを周り、カマカやマーチンのウクレレを見つけては、「僕が連れて帰らなければ」と、コレクションが始まった。  現在、関口さんのウクレレコレクションは300本に上る。ウクレレミュージアムが設立されたら、全て寄贈するつもりだという。

 

今年は日系移民150周年。 ウクピクもその行事の一環として開催

昨年の9回目は、日本からマイク眞木さんをゲストに迎え、ホノルルのスタジオでレコーディングしたばかりの曲『Pua Lokelani E』(”バラが咲いた”ハワイ語バージョン)を披露。ウクピクにおいて新たに、ハワイと日本を結ぶ曲が誕生しました。日系移民の150周年を祝える歌ですね。編曲と演奏はハワイのトップミュージシャンのネイザン・アヴェアウで、今年はマイクさんとネイザンが共演します。

ハワイのミュージシャンには親日家も多くて、ネイザンも『INORI』という日本語の曲を作っているし、今回出演してくれるクアナ・トレスは「ナ・パラパライ」のリーダーですが、ハナミズキのハワイ語バージョンを歌ったりしています。ハワイと日本のミュージシャンが一緒のステージに立つことが多いのも、10回目の特徴です。

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