そのときどきで 自分たちができることは変わっていく
伊達さん
僕らは1ヶ月に何回かは東北の沿岸に行っていますが、震災後2年目から3年目の1年間はそれほど変わらなかったんです。がれきが少しなくなったり、ちょっと防潮堤ができたかなという感じでした。今は土地の問題があって、ここを整理しないと前に進めない状態です。
一方で、海は少しずつ以前の状態に戻ってきて、牡蠣が養殖できたりしています。といっても、船の数が全然足りないのが現状です。船を作るのにはかなり時間がかかりますから、漁師を辞めちゃった人が多いですね。なかなか元通りというわけにはいかない。義援金でたくさん協力をしていただいたこともありますし、そういう状況を僕らは伝えていかなくてはならない。それが僕らの仕事だと思っています。
富澤さん
そのときそのときで自分たちができることは変わっていくと思います。最初は義援金を立ち上げて、バスツアーをやって、何年かしたらそのときにまた何かやるんだと思います。そこはまだ何か見えませんし、わかりませんが、そのときに必要なことをやっていきたいと思っています。
去年の東北楽天ゴールデンイーグルスの優勝や今年の羽生くんのオリンピックでの金メダルは、東北、特に宮城の人たちにとって元気をもらえた出来事だったんじゃないかと思います。被災した人たちには笑顔も、前向きな方もだいぶ増えました。でもみんな必ず「何か」を我慢してがんばってきています。復興への道のりはまだ長いです。 伊達さん…被災地の人に「今はどういう協力が必要ですか?」と聞くと「とにかく見に来てほしいねぇ」という声が多いです。「まず見てもらわないとはじまらないよね。同じように考えてほしいよね」と言う方がとても多いです。電車はまだ不通のところもありますが、ある程度は海辺まで行けますから、ぜひ世界中の人に来ていただきたいと思います。
息抜きは子どもです!
2人は仙台商業高等学校(現、仙台市立仙台商業高等学校)の同級生。同じラグビー部で知り合って以来の親友で、下積み時代は9年間2人でアパートに住むほど仲良し。それぞれ2009年に結婚し、1児の父となり、子どもも同級生となる。
日本にいちばん近い存在でもあるハワイの方に 被災地を来て、喝を入れていただきたい
毎年単独ライブツアーを行うサンドウィッチマン。今年は8月9日の東京公演を皮切りに全国10都市15公演の“サンドウィッチマンライブツアー2014”の開催が決まっている。
伊達さん
これからも、毎年やっている単独ライブツアーは続けていきたいですね。「夢」といっても、実はもう夢の世界にいるんですよね。これ以上欲張りはしないです。でも、ハワイは行ってみたいです。
今年でデビュー16年を迎えるのですが、20周年目にハワイ単独ライブをしてみたいですね。
それからハワイの方々にもぜひ東北に来ていただきたいです。テレビやラジオでは東日本大震災というものを見ていらっしゃったと思いますが、今は「ここまで復興しました」というニュースは前ほど多くないと思うんです。日本にいちばん近い存在でもあるハワイの方に、被害を受けた地域を見に来ていただいて、喝を入れていただきたいです。訪れてみるのとテレビで見るのとはまったく違います。直接見て、聞いて、感じてほしいです。
東北の受け入れ態勢は万全です。ホテルや温泉に行って、日本の美味しいものを食べて、お土産を買って、帰ってからハワイの人たちに話をしてほしいなと思います。貴重な経験として、もう二度とこんな沢山の犠牲者を出さないためにも。2万人を超える方が、身体を張って教えてくれた教訓を生かすためにも。
富澤さん
ハワイはサーファーの方も多いですよね。東北ではサーファーの方々が海岸のがれきを片付けてくれて、今はサーフィンができるところもあります。ハワイのアーティストのクリスチャン・ラッセンさんが宮城県の七ヶ浜に来て、仮設のサーフショップを訪れて絵を描いてくれました。ぜひサーファーの方も波乗りをしに来てください。僕らもハワイにおじゃましますので、そのときはよろしくお願いします!
サンドウィッチマン
伊達みきお(だて・みきお) 写真左
1974年生まれ。宮城県仙台市出身。趣味は高校野球予想、Vシネマ鑑賞、各地方の旨いモノを巡ること。また、福祉関連の会社に就職していたこともあり、福祉用具専門相談員の資格を持つ。 公式ブログ:サンドウィッチマン伊達の「もういいゼ!」
富澤たけし(とみざわ・たけし) 写真右
1974年生まれ。宮城県仙台市出身。趣味はスポーツ観戦(プロ野球、サッカー、バスケット、NFL)。特技は寡黙。 公式ブログ:サンドウィッチマン富澤の「名前だけでも覚えて帰ってください」
http://ameblo.jp/takeshi-tomizawa/
(日刊サン 2014.05.10)