アロハの温かい気持ちを届けることが我々ができること
一番大切なのは、見捨てられていないと感じていただくことです。ハワイの人たちが自分たちのことを考えてくれている、遠くの 人たちが来てくれているということが彼ら にとってのパワーにつながつていると実感しています。
大きなことではなくて、例えばハワイからレイを持って被災地を訪れることでも充分です。彼らにとって、気にして来てくれたというのが一番なのです。
震災直後のように生きていくのに必要なものはなんとかなっている今、ボランティアとしては、教育、精神的なサポート、前向きに生きていく気持ちになれるビタミン剤になるようなことを実際の労働として提供することもいいですし、現地に行って話を聞くのもひとつです。
被災地の方はお互いに津波の話などはしないんです。でも、遠くから 人が来た時に話し出すんです。話すことで楽になることもあるので、そうした話を聞くというのも、自分にとってもいい経験になりますよ。落ち込むことがあっても、そんなこと言っていられないと思うでしょうし、お互いにとっていいことだと感じています。ハワイのいいところである、アロハの温かい気 持ちを届けることが我々ができることだと思います。
具体的なボランティア活動については、直接私にご連絡をいただければご案内します。震災から1年の時には、そろそろおしゃれをしましょう!とみなさんにお化粧をしたことがありました。最初は恥ずかしがっていらっしゃいましたが、写真を撮ったりして嬉しそうでしたよ。このように気持ちがアップする手伝いもいいと思います。
ネイルアーティストやマッサージができる方など、ご自身ができることもひとつのポランティアです。 この夏は、海水浴場のリオープンを目指して、各地でビーチクリーンが行われています。砂浜のがれきを取って子供たちが安全に泳げるようにする活動です。私も今度ハワイからビーチパラソルを持っていく予定です。
海中のがれきの撤去は、ハワイにたくさんいらっしゃるダイバーの方々ができるボランティアです。海に潜れなくても、漁師さんの手伝いも必要とされています。前回 はわかめの芯抜き作業といって、わかめの先端の痛んでいる部分を切って、きれいなところを出荷するという細かい作業がありました。
その時期に必要なもの、求められている情報は、私がお伝えできます。日本に行っている間にボランティアに行こうと思われるなら、そのタイミングでボランティアができる場所を紹介します。焼きそばの炊き出しの手伝いでもその他でも、東京から行く場合、私と一緒に行っていただくのもいいか もしれません。交通費やガソリン代のそれぞれの負担も軽くできますよね。
一度行くと次はご自身で行きやすくなりますし、そういうきっかけを作ることも、これからの自分の役目だと感じています。今は被災地もだいぶ復興してきて、インフ ラも整って、お手洗いも水も不自由ない状態です。安心してボランティアに行けるところ、受け入れ体制が整っているところ、み なさんそれぞれに合った作業についてもご相談をしながら紹介できます。
ハ ワイにいながらできるボランティアもあると思います。例えば、汚れてしまった写 真をきれいにしても、傷ついて元に戻らない状態のものがたくさんあります。そうした 写真に、カメラマンやグラフィックデザイナ ーなどが簡単なフォトソフトを使って、消えている空があるとしたら、他の空の部分をコピーして貼り付けて、リタッチして送り返すことができますよね。現地に行かなくてもできる作業もあるので、ハワイでみなさんで集まりましょう!
みなさんの笑顔があるから続いている
これまでに被災地で焼いた焼きそばの数は1万2000食を超えました。先日、記念 Tシャツを作り、焼きそばを作った場所をすべて地図に載せました。 被災地に行って、見て、人と会っていた ら、 「これで終わり」とはできません。
例えば、海のがれき撤去の活動はエンドレスだと感じています。海の中でもっと働けるようにスキルを上げようと思っているところです。こうして続いているのは、みなさんの笑 顔、ありがとうの言葉があるからです。焼きそばを楽しみにしてくれている方がいらっしやって、子どもたちが走って来てくれると、また来ようと思いますよ。
ボランティア活動について、最初は 「偽善じゃないの?」 という声も聞きました。でもあ る人が 「最初は偽善でいい。偽善からスター トして、やっている間に本物になる。」と言 ったんです。ボランテ ィアをす るのに、周りから何か言われるのではないかと心配する方もいるかもしれませんが、そういう言葉を気にしてボランティアを止める必要はないんです。
偽善でもなんでも、実際に行動をすることが大切なことだと思っています。 これまでに撮った写頁は、フェイスブックに掲載しているのですが、今後は写真やビデオなどの資斜を置いたり展示したりして、いっでも見られる場所を探そうと考えています。被災地の様子を身近に感じていただけ れば、ボランティア活動の敷居が少しでも低くなるかもしれません。
こうした活動を続け ていくには資金的な援助が必要ですから、 NPO法人の設立も申請しているところです。これからさらにできることを考えながら、ま だまだ活動は続けていきます。
竹林 篤(たけばやし あつし)
大阪生まれ。関西学院卒業後、株式会社千葉そごうに 3年勤務。その後ハワイヘ渡り、テニスのティーチング プロをしながら、テニスショップやテニスクラブを経 営。寺子屋たけちゃんなどのパソコン教室や不動産業 などを営むー方で、テレビやラジオのCMプロデュース を手掛けるなど多岐にわたって活動。現在は主にボラ ンティア活動に専念。
☎︎ (808)282-0000
メール: [email protected]
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(日刊サン 2013.06.22)