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インタビュー

【インタビュー輝く人】ソムリエ 田崎真也さん

16歳で高校を辞め、17歳でサービス業に入り、19歳でフランスへ渡った田崎真也さん。日本に帰国後、25歳で第3回全国ソムリエ最高技術賞コンクール優勝。次に世界を目指して11年間の努力の末、37歳の時に第8回世界最優秀ソムリエコンクールで日本人として初優勝の快挙を成し遂げた。その後は日本にワインを楽しむ文化を発信。日本位ワインブームを巻き起こし、日本の生活にワインを定着させた、輝く人。

ライター:みなみようこ

 

コンクールは仕事や人生の上での通過点。それをどう生かすかということ。

 

嗅覚、感覚は子どもの頃に磨かれる

子どもの頃から自然に触れている環境が好きで、1年中、1日中、外で遊んでいました。東京の渋谷区という都心で生まれたこ ともあり夏休みに山や海へ行くことに特 に興味を持っていました。

 

小学校4年生の時に、周りに森がたくさんある初期の新興住宅地へ引っ越したので、それからは小学校から帰って来ると毎日森の中へ遊びに行っていました。この頃に嗅覚や感覚が自然に磨かれていったのではないかと感じています。

 

食べることは3歳の頃から好きだったようです。当時は、銭湯に通っていて、私は父と行き、妹は母と行っていました。母は銭湯の後は夕飯の支度があるので、妹を連れて先に帰っていたのですが、父は帰りに焼き鳥屋のような居酒屋に寄ってビールを 1杯飲んで帰るという習慣がありました。

 

私は居酒屋で父の隣りに座って、焼き鳥などのつまみを食べていました。子どもらしいものはあまり食べずに大人のつまみを食べていたのも、味覚的にはよかったと思います。 大人が勝手に思う子どもらしいものをあげるよりも、基本的には子どもが選ぶようにした方がいいんです。

 

例えば、寿司屋に行ったら、子どもには海老と玉子というように大人が選択肢を狭めていますよね。子どもは意外とトロとかイクラとか車海老や伊勢海老が好きだったりします。大人が食べさせないだけで、実は好きなんですよ。値段が高いから食べさせないのは、子どもの五感を磨いていく上でもったいないことです。いろいろ食べさせて選択肢を与えていくと、子どもは値段に関係なく選べるようになります。

 

特に3歳を過ぎたあたりから意識を持って選ぶことができるようになっていくんです。私の娘は3歳の頃に、寿司屋で「お嬢ちゃんは玉子にする?」と聞かれたのですが「サザエの肝とあん肝と…」と答えていましたよ(笑)。 子どもが食べやすいと感じるものばかりを食べさせていると、極端に香りの強いものや苦いものが嫌いになってしまいます。

 

3歳から10歳くらいまでは、感覚的に広げられるようなことをしたほうがいいですね。家でゲームをするのではなくて、外に出て自然に触れて遊ぶ。指で触って、匂いを嗅いだりすることが大切です。

 

 

工業化学専攻から船の学校を経て、飲食業の世界へ

高校は工業化学専攻の高等専門学校に通っていました。でも、1年目で自分に向かないと感じました。そして、外国船の船長になりたいと思い、学校を辞めました。5年制の高等専門学校だったので、5年も学校に行っていても船乗りにはなれないと思ったので迷うことはありませんでした。

 

両親は学校を卒業してから次へ行けばいいという考えでしたが、何時間もかけて両親を説得しました。ところが、夏休みに海のスナックで初めてアルバイトをしたら、その仕事がおもしろかったんです。お金を払ってくれる立場の人が、お金を受け取る側に 「ごちそうさま 。ありがとう」と言ってくれる、いい仕事だなと感じました。

 

こ のサービス業との出合いがきっかけで、船の仕事ではなくて、ありがとうと言ってもらえる仕事の方がいいと思うようになりました。それなら船の学校を卒業しても仕方がない、船の学校に2 年も3年も行っても板前にはなれないので、学校を辞めました。それが高校2年生の時でした。

 

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